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#543 あなたはあなたにしかなれない
第5次中東戦争か?ついに、我等がニッポンのワイドショーですら、イスラエル・ハマス紛争を取り上げている。
ちなみに「第一次」中東戦争は75年前(1948年)、「第四次」は50年前(1973年)である。その頃から長きにわたり、USは中東の重しであり、イスラエルの後ろ盾であった。
みなさんもご存知の通り、いま、USの姿はすでにそこにない(駐留米軍がゼロになった訳ではないです)。ペルシャ(イラン)・アラブ・イスラエル、この3勢力が「地域のことは地域で」解決しようと努力しているのは周知の通りだ。
その地域努力の結果.....ISは掃討され、シリア内戦は決着し、カタール問題も片付き、サウジとトルコが接近し、イスラエルと湾岸が国交を樹立し、アフガニスタンが安定に向かい、そして、サウジとイランが対話を行っている。
USには達成できなかった中東の安定。この大きな流れによって、「パレスチナ」は大きな犠牲(譲歩)を強いられる。今回、ハマスの矛先はイスラエルに向かっているわけだが、「中東安定のためにパレスチナの犠牲やむなし」と態度を翻した湾岸諸国やイランに対しても、ハマスの不満は大きかった筈だ。その不満がなんらかの形で爆発するのは時間の問題だったのだろう。
よって、混乱の後の調和へのロードマップは、既に中東のリーダーたちには描かれている.....のではなかろうか。
以上、しかし今回は中東諸国の話をしたかったわけではない。
USが「中東を仕切る」という「ムリ」を諦めて事実上撤退したことの意味を、あらためて振り返った次第である。
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企業ガバナンスの現場でも同じである。「ムリ」をして実力を超えた仕事を「仕切ってみせる!」とミエを切る方は、大きなダウンサイドリスクをしょっていることが多い。みなさんもそういう方々を見てきたのではないだろうか。
そもそも、等身大の自分を知ることを「リスクマネジメント」というのである。しかし、みなさんと違ってリスマネや内部統制を学んだことがない方々は、このことを知らない。そして身の丈を超えて大きな案件・難しい案件を仕切ろうとする。「これで昇進できる」という欲に目がくらみ、分不相応なゾーンに突っ込んでいってしまう。
「仕事が出来る」方が、等身大の自分をわからないばかりに「身持ちを崩す」。会社のガバナンスに反する行為をする。そんな例は数知れない。
自分が《そこまでは強くない》ところでミエを張ると、いつか必ず大きなコストを払うことになる。これがリスクマネジメント」の第一歩である。
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USは、中東からは事実上撤退した。しかし日本については、条約に基づき他国の侵略から防衛してくれる「ことになっている」。
が、その実相はどうなのか?そこを鋭く論じたマンガ『沈黙の艦隊』が、このたび実写化され公開中だ。
みなさんは試験合格後になってしまうが、ぜひ本作をご覧いただきたい。そして、いろいろとご自身のアタマで考えることをおすすめする。
TAC USCPA講座/草野龍太郎 講師