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2023/09/27
成功し続ける方法/541回<「わたしは特別扱いされるべき」という受験生さんたちへ>
#541 「わたしは特別扱いされるべき」という受験生さんたちへ


『ドラゴン桜』。草龍はこの傑作漫画の大ファンです。

東大を出た「というくらいのことで」将来が開ける、というのは「不公平な社会」である。そのことに文句を言ってすねて何もしないよりは、むしろその「不公平さ」を逆手に取ればいい。つまり自分も東大を出ればいいじゃないかと生徒を励ます。

この発想がいいんですよ。

ところがいま、実に多くの方々が、何かにつけて憤っています。その大半が「不公平な社会によって、自分の尊厳を踏みにじられている」と怒っているように見えます。

さらに近年、この「自分の尊厳」の範囲がぐんぐん拡張しているように感じます。オリジナルの「尊厳」、つまりわたしを人間らしく扱え、モノや動物のように扱うな、というのはよくわかるんですが、

最近は「尊厳」の意味が「わたしを特別扱いしろという要求」に変わってきているかのようです。


・わたしは無条件に尊敬されるべきである

・「みんな我慢してるんで、同じように我慢してください」などと粗末に扱われるのは許せない

・自分は凡人どもとは違う特別な存在なのだ。それを踏まえて私を特別に大切にしろ

というふうに。

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もともと日本では「結果平等」を良しとする伝統があります。「機会平等」で「結果は自己責任」という考え方を嫌う方々がとても多いですね。

冒頭の「東大を出た『くらいのことで』違いがあるのはおかしい」というのもこの「結果平等」主義に基づいています。

USCPAを取得しても「ちょっと資格がある『くらいのことで』昇進に差がつくのはおかしい」という文化の組織、まだまだ多いとおもいます。

こういう「結果平等」によって、もともとは「特別扱いされている奴の足を引っ張る」というのが日本人の行動でした。

「みんなが手をつないで抜け駆けを許さない」「一緒に没落していくならそれはそれで仕方ない」というDNAですね。

日本人は「自分の利益より他人の損失を喜ぶ」というネガティブ志向が多民族より強い、という研究もあります。

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ところがそれが、近年ではむしろ「わたしも(もしくは、うちの子どもも)特別待遇されないのはおかしい」と変わりつつあるようなんですね。

他人が自分より上に行かないでほしいというネガ志向から、自分もあの人たちと同じように上のほうにいるべきだというポジティブ志向になってる。

ポジ志向は大いにけっこう、ではそれを掴み取るために懸命に努力すればいいじゃないか、というのが『ドラゴン桜』なんです。

ところが、いまどきの「わたしの尊厳」を主張する方々の一部には(全てじゃありませんよ)、

「わたしは『懸命の努力』などしなくても、ありのまま素のままいまのままで、特別扱いされるべきなのだ」

「『特別扱いをもぎ取るには懸命に努力しろ』などと言ってる奴は、わたしの尊厳を踏みにじっている」

と信じこんじゃっている方々が、ほんとにごく一部ですけど、おられるんですよね。

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資格試験に限らず「テスト」とは、受験者の何かを試して、点数化し、合格不合格を決めるわけです。だからテストというものは、intrinsic に(=もともと、最初っから)「尊厳」に障るものである、と言えなくもない。

ほとんどの受験者は、そこのところは割り切って「テストされる」身に自分をおき、なるべく早くその「尊厳に障る」不快な状態から脱しようと奮闘するわけです。

とにかく早く受かることが最優先ですから、そのために「こういう問題が出たら、迷わずこういう風に解釈して、こういう解答をしてください」と教われば、素直にそれに徹する。

ところが最近は、「なぜ、そのように振る舞わなければならないのか?」と憤りが湧いてきてしまう方々が少しづつ増えてきました。なかでも多いのが

「わたくしは実務では選択肢bを選ぶが、なぜベッカーの正解はaなのか?aは理論上は正しいかも知れないが、現実には得意先に通用しない」

などと「自論」を前面に打ち出してしまう方です。こういうみなさんは結構怒っておられて、その裏には「尊厳を傷つけられた」「なぜ私のほうが合わせなければならないのか?」という想いがふつふつと煮えたぎっているようです。

USCPA試験は、アメリカの公認会計士協会AICPAの入会試験です。アメリカだけでなく、中国やインドや欧州や世界中の方々が受験します。どの国のどんなビジネスの方にも通じる「正解」を決めなきゃいけないのに、「日本のあなたのスペシャルな経験」に寄り添うことはできない。理論上正しいことを「正解」とするしかないのです。

そういう当たり前の仕組みを理解して、「AICPAに入会を認めてもらうためには、どう回答したらいいのかな?」と素直に学ぶこと。それって、AICPAという団体の「尊厳」を大切にすることに他なりませんよね。

逆にいうと、AICPAには「ありのまま・素のまま・いまのままの私」の入会を認める義理は、何もないのです。

それは決して、AICPAがあなたの「尊厳」をないがしろにしているからなんかではない。他の既存会員たちや、これから入会を目指して素直に努力している方々の「尊厳」を大切にしているからこそなんですよ。

そういうことに思いをいたしたこと、ありますか?

「私が!特別扱いされないとは!!この試験は、おかしい!!!」とすぐに憤怒に駆られてしまうみなさん。むしろ今のあなたこそが誰よりも、ご自分でご自分の「尊厳」をないがしろにしているのかも知れません。


TAC USCPA講座/草野龍太郎 講師
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