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#540 なぜあなたは何をやっても続かないか
突然ですが、掃除ロボットって本当に便利ですよね。この家電、家がある程度広く、そして時間制約がきつい、という方には最適です。
ですが、掃除ロボを床に走り回らせるためには、まずやらないといけないことがあります。そう、モノを片付けるということなんです。ロボでなく手作業でも同じことですが。
話しは変わって、痩せたいからランニングを始めようという方がおられます。都心はさすがの猛暑も少しだけ和らいできたので、既存ランナーもぼちぼち戻ってきている感じです。ですので新規ランナーもこれから参入してこられることと思います。
ですが、ランを始める前に初心者がまずやらないといけないことがあります。それは、減量です!そう、痩せるために走るには、まず痩せないといけないのです。なぜならケガをするからです。ランの経験に乏しいかたは足も・膝も・脚も・股関節も・そして体幹も、ランに耐えられるほど強くない。そのうえ過体重となると、これはもうすぐに故障します。
というわけで、ガーッと掃除する前には、まず片付けをしなくてはいけないし、ランニングを始める前には、まず弱い足腰でも耐えられるくらいに体重を落とさないといけないのです。
しかし、どうでしょう。散らかったままの部屋にルンバを投入してさらにグシャグシャにしてしまったり、あるいは忠告を聞かずに走り始めて足やヒザを傷めて走れなくなる。そんな方々が、後を絶ちません。
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自分は何をやっても長く続かない、と嘆く方がいる。で、その原因をご自分の「意志の弱さ」だと考えて自責する方もおられます。
けれども、続かない人と続く人の違いは、「続けるための環境」が事前に整っているのかどうか。この違いが大きいのです。
中には運よく「たまたま環境が整っちゃっていた」という方もおられます。
生まれた時から家にグランドピアノがあって弾き放題だったとか、
ものすごい量の本があったとか、
学校と家の間にプールがあったとか。
要するに「もともとモノがない家でルンバを使う」「もともとヤセ体型の人が走り始める」という状態ですね。
しかし、環境が整っていなくても、ナニがを始めたくなったり、もしくは始めないといけなくなったりする。その際には、「掃除ロボを使うためには、まず片付け」「走るためにはまずダイエット」と同じことをやらなくてはいけないのです。
たとえば、「USCPA受験のためにこれから延べ1,300時間勉強する」となれば、まずはそのためのイスと机が要ります。というか勉強スペースの確保が必要です。いつまでも食卓で仮住まいしていては、家族と深刻なトラブルになります。そうなると、続かないのです。
勉強の姿勢に慣れていない方が、腰や首や肩を傷めることもあります。坐骨神経痛をこじらせて、座っていられなくなることもあります。そういう方は、1,300時間にわたって「座学」を行うためのカラダのコンディショニングを、先にしなければならなかったのです。「走る前に減量しろ」です。
資格試験勉強を続けるために事前に整えておかなければいけないことは、実に多岐にわたるんです。
・会社の(あまり意味がない)飲み会を片っ端から断れるようにする(職場の理解を得る)
・スキマ時間を駆使できるように、スマホや、クルマのオーディオなど、もろもろのデバイスによる勉強方法を確立する
・勉強のために残業が減っても耐えられる生活様式に移行する
・ご家族の理解を得る
・虫歯を治しておく
・中年なら帯状疱疹ワクチンを打っておく
などなど、数え切れません。
そうすると、単にUSCPA受験のため「だけ」にいろんな準備をするわけにもいかないということに気が付きます。そうです、当たり前ですが人生は資格試験「だけ」のためにあるわけではありません。
ですから、「つねに」なにかを始めたらそれを続けられるように、周りの環境と自分のコンディションを整えることにコストを使っていないといけない。それこそが「成功し続ける方法」の第一歩なのです。
毎日まいにち、「掃除するために片付ける」「走るためにダイエットする」ということを、素直に・淡々とできる人。そういう方が「続けられる人」なんです。これは、意志が強いとかどうとかではないんです。
TAC USCPA講座/草野龍太郎 講師