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#537 試験本番でのリラックス(1)
資格試験の本番に限らず、自分に「緊張するな〜」と言い聞かせるシーン、ありますよね。仕事をしていれば追い詰められることもありますし、余暇でもスポーツやゲームやギャンブルなどでピンチに陥って真っ白になったりします。
これが「本番で自分の力を出す」ことの難しさのひとつです。平時にいくら力があっても、「そのとき」に力を出せないことは多い。
子どものときから「そのとき」をたくさん経験してきた少数の方はわかっているのですが、「平時に能力を高めるトレーニング」だけでは、「そのとき」に力を発揮できないのです。しかし、そのことがわかっていない方が多い。みなさん(とみなさんの親)は、「とにかくリスクを避ける」ことを最優先してきた世代だからかもしれません。
ともあれ、「本番で力を出し切る」ためのトレーニング「も」しておかないことには、いくら平時に努力しても「そのとき」に緊張しすぎで無駄に終わる確率が増えます。
そういう人は「本番に弱い」などと言い訳をしますが、そうではありません。たんに「本番で緊張しないトレーニングが、これまでの人生でスッポリ抜けていた」だけなのです。
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本番の「そのとき」は、平時と環境が違います。プロメトリックセンターで「持ち物を全部ロッカーに入れろ」と言われるところから異界です。ドキドキします。
そしてなにより、自分自身の心境が違います。結果を出せないと、時間が無駄になる、またお金がかかる、友人や家族に「またダメだったの?」と言われる。昇給や昇進が遅れる.....平時に問題集でスタックするのとは違って、ここでヘクると人生にヒットする。。。
そういう「緊張感」は、ほぼ例外なく、本番でのパフォーマンスに「悪影響」を及ぼします。これはいい感じでアドレナリンが出て脳が冴えるというのと違います。逆に、悪い緊張感が脳の一部のリソースを食ってしまい、貴重なカロリーも消費してしまうのです。
子どものころから本番の修羅場を体験してきて「そのときに力を出すこと」に慣れている方は、悪い緊張感が少ない。つまり、「失敗したらヤバいよヤバいよヤバすぎる〜」という考えにリソースもエネルギーも(たくさんは)与えないことができるのです。
スポーツ選手が「集中できた」「ゾーンに入った」などというのを聞いたことありますか?これは、文字通り「集中した」のではないのです。「負けたらおきるヤバいこと」を想像するのをやめることができたということなのです。
ファンに申し訳ないとか、スポンサーに契約切られてしまうとか、協会に怒られるとか、引退しなきゃいけないとか、そういう「結果がネガだったら起きる結果」を(ほとんど)考えないこと。それができたということに尽きます。
お気づきと思いますが、こういう心境になると、ポジティブも考えません。「結果が出たらどういう良い結果が手に入るか」も忘れるということです。
人の心は本当によくできており、心を向けたことにものすごいエネルギーを集中させます。その力があるから人類は他の動物と異なりここまで進化したわけです。
けれども、その指向性があまりに凄いので、大事な本番「そのとき」に、目の前の問題以外のことに心が向いたらおしまいなのです。
ということで、本番で「余計なこと=つまり結果」に心を指向させないというトレーニングが、平時に問題集が解けるようになるトレーニングと並行して必要なのです。繰り返しますが、子どものときからそういう「緊張するそのとき」を避けてきた方々には、いまからの特訓が必要になります。
来週に続く!!
TAC USCPA講座/草野龍太郎 講師