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2023/06/15
成功し続ける方法/529回<利他こそが最高の自利(2)>
#529 利他こそが最高の自利(2)


「自分がいちばん大事、自分がよければそれでいい」

そう考える人こそ、利他につとめるのが合理的な戦略です。

日本でも古くから「情けは他人のためならず」という諺があります。
(これを「他人を甘やかすとそのひとのためにならない」と解釈している人がいますが間違いです)

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【利他が最高の自利】というのは、道徳でもなければきれいごとでもない。サイエンスのエビデンスがあります。心理学では、利他行動が幸福感や満足度を増やすことがわかっています。

・お金を他人のために使う(ただし適度に)ことが自己の幸福感を高めるという研究

・職場で利他的な行動を取る人々が、結果的にキャリアアップを獲得しやすいという研究

また生理学でも、自分の利他的な行動を喜ぶように進化してきたとされています。

・利他行動をとると、脳内で「幸せホルモン」であるセロトニンやオキシトシンが放出される

これは、遠い昔に突然変異で「脳が自分の利他的な行動を喜ぶように生まれついたヒトたち」が、子孫を残す競争において勝ち抜いた結果だと考えられています。

カラダが自然に【自利としての利他】を求めたヒトたちが、「自分の利他的行動を喜べない方々」よりも優勢になった。そして子孫を残す競争に勝って、現存する我々の先祖になった・・・ということです。

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ヒトは、他者と協力し、他者を助け、他者のためになるように行動するという戦略により、何百万年も生き延びてきたわけです。

繰り返しますがこれは「正義」や「道徳」の話ではありません。そういう戦略をとるように生まれついたヒトたちが勝ち残ったという話です。

(言い換えると、そういうヒトの戦略に気づいた数千年前の人たちがいわば後付けで、【自利より利他】を「道徳」「倫理」そして「宗教」という形に仕立て上げたのでしょう)

遠い子孫である我々も、ボランティア活動や慈善活動に参加すると、なんだか嬉しくなるヒトが多いわけです。AI時代だろうとなんだろうと、「我々のヒト(ホモサピエンス)としての根本は【利他こそが最高の自利】戦略である」ということを忘れてはいけません。

どうにか自分だけ勝ち残ってやる、と「自利」を追求するつもりなら、「利他」行動を極めるのがいちばん手取り早くて確実なのです。

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ただ、現代は厄介なことに、人間がふつうに生きていくだけでもかなり高度なスキルが必要とされる時代です。

なぜかというと、世界中で便利・清潔・健康を追求するヒトがの80億人もいるようになったためです。モノや情報やカネなどのリソースが超高速で飛び交うようにしておかないと、エコシステムが回らないようになってしまったからです。

(リソースの回転が停滞するとどうなるか、この3年間で世界が体験しました。一部ではまだその停滞の余波が続いています)

そして肝心なことは、こういう世の中で【利他】を貫くには、ものすごく高い能力が必要だということなのですいくら【利他】の気持ちがあっても、超高速で回転するエコシステムから自分自身が振り落とされそうになっているようでは、他人に貢献するのはむずかしい。

前回も例に出したビーチのライフセイバーさんたち。溺れた他人を助けるには、泳ぎが達者で体力や運動能力にズバ抜けていなければいけませんね。ライフセイバーさんたちが日ごろからハードトレーニングを重ねていることはよく知られています。

いまの時代、力なき【利他】は無意味どころか自滅・共倒れの危険が高いのです。そして、前回も書いたとおり、【利他が最高の自利】と気づいた世界中の人々が、利他するためのチカラとポジションを掻き集めて自分のものにする競争を繰り広げている。

1995年にウインドウズ95が発売され、パソコンがインターネットにつながり始めたころから、「ITで【利他】をする、世界を変える」という方々に席巻されるようになりました。

そうなると皮肉なもので、【利他】をかかげている企業たちに対して、多くの方々が労働時間を安く売るようになり、個人情報を与え、生活を依存するようになっています。

2010年代になって、いまの形の【利他】では永続きしそうもないことが明らかになってきました。何度もしつこく繰り返しますが、これは道徳・正義・倫理の問題ではなく、冷徹な戦略論です。

自利を極めるための最短ルートは利他である。ただ、利他しているつもりでやっていることが利他ではなかったため、ちゃんとした利他に軌道修正しよう。

これが現在、西欧(とくにイギリス)発でわきおこっている【シン・利他】です。その名を「サステナビリティ」とよびます。

これがなぜ皆さんと関係あるかというと、あのIFRS財団がこの「サステナビリティ」を、活動のど真ん中に据えたからなのです。

(続く!!)


TAC USCPA講座/草野龍太郎 講師
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