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#512 「苦しいけど楽しいこと」だけが長く続く(4)
それではまとめよう。
??「苦しいx 楽しい」ことなら、長く続けられる可能性が高い。長く続けられればハイレベルに到達する可能性も増える。収入にも直結するかもしれない。
??ところが、多くの方々は、苦しいか苦しくないかは別として「楽しくないこと」に縛られている。これを続けるために、ひとは「この仕事は、楽しいんだ!」と自分にウソをつく。それは、「楽しくない(【達成感】が得られない)ことは続けられない」とわかっているからだ。
ズル賢い客や上司は、あなたのそういう心理をうまく利用しようとする。彼らにダマされて、「苦しくて、楽しくもない」とか「苦しくはない(ラクだ)けれど、楽しくはない」という仕事に縛り付けられている方々は少なくない。
??「楽しい(【達成感】がある)」と自をダマし続けるクセがついてしまうと、とんでもないことになる。それは、「楽しい(【達成感】がある)」かどうかの判定が自分自身ではできなくなり、他人に委ねる(ゆだねる)ようになってしまうということだ。
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みなさんの周りに「モチベーションを他人に依存する」という哀しい方々がおられないだろうか?
他人に対して、楽しくないです、【達成感】が得られません、モチベーションが湧きません、「どうにかしてほしい」と愁訴(しゅうそ)する方々だ。
所属組織や家族などに「どうにかしてもらう権利がある」とモンスタークレームする方々だ。上司との1on1ミーティングで「私のモチベーションを高めるという義務を果たせ」と迫る方々だ。
ひとことで言えば「甘え」である。かつては、そんな甘えが許されるのは、幼児さんたちだけであった。しかし今は違う。自分の「楽しい・【達成感】がある・モチベーションが湧く」がうまくいかないことを【他責】する。そんな「甘えた」方々が、年齢を問わず、全く珍しくなくなった。
多くの組織では仕方なしにウソをつき始めた。【達成】すべきは「結果」ではない、「プロセス」ですよというウソだ。
「モチベーションを他人に依存する、幼児のような大人」があまりに増えすぎて、甘えた方々に迎合するほうを日本社会は選んだ。それがいまの日本を暗く重く覆う「結果平等でないと許さない主義」である。
「努力したくらいのことで、よい結果が得られるというのは、平等ではない」そう考える方々がマジョリティを占めている。
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読者のみなさんは、こういう「甘えバブル」の現状に、決して立ち向かってはいけない。むしろ、このバブル状況を逆手にとって勝ち抜く(アービトラージする)ことを考えよう。
話は簡単だ。みなさんは、自分がほんとうに「楽しい」かどうかを見極められる方々だからです。、
「楽しい」と思えて、なおかつ、他人からは「苦しそう.....」「たいへんそう.....」「よくまあ毎日まいにちそんなに一生懸命に..... 」と思われることに、没頭して精励すればよいのだ。つまりあなたは日々淡々と「唯一無二」に近づいていけばよいのだ。
そうすればあなたは、「楽しさを他人から与えられたい」などと甘えることしかできない方々にとって、必要不可欠な存在になる。
つまり、彼らから「ちゃんとした価格を払うから、あなたのサービス(製品)を売ってください」と言っていただけるし、あなたは「客を選ぶ」ことができるようになる。あなたへの需要の価格弾力性がが極小になるということです。
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最後に、これだけは決して忘れないでほしい。「あなたの【達成感】は、あなただけにしかわからない」ということを。
あなたが何かを【達成】したか、それとも【達成】できていないか。本当にわかるのはあなた自身しかいない、ということだ。
仮にあなたが心の底から【達成感】を感じていたとしても、他の人には決してわからない。「苦しいこと」を一緒に耐え抜く仲間や家族、ホンモノのパートナーでも、あなたの【達成感】はあなたにしかわからない。
そして(これがいちばん大事なことなのだが)、パートナーの【達成感】も、あなたにはわからないのです。
そこを「お互いの【達成感】は、わかるはず」などと勘違いするところから、パートナーシップは綻んで(ほころんで)いく。
「楽しい」「【達成感】がある」「モチベーションが湧く」は、あなたただ1人の大切な宝。そのことを忘れずに「苦しいけれど楽しいこと」を、粛々と極めていきましょう。
TAC USCPA講座/草野龍太郎 講師