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#510 「苦しいけど楽しいこと」だけが長く続く(2)
90歳の冒険家三浦雄一郎さんのお言葉(雑誌『月刊致知』より)
『リーダーは、いつでも、どんなに落ち込んでいようが、《上機嫌で》旗印を掲げていなければならない。
これを降ろしてしまったら、誰もついてこなくなる』
(《 》印は草龍による)
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この草龍コラムの読者の中には、リーダー層、もしくはこれからリーダー層を目指す方々も多い。「リーダーになりたくない」「昇進とかいいです大丈夫です」という方がマジョリティの世の中で稀少ない読者層である。
そんなみなさんに、草龍は繰り返し《キープ客観・ステイ上機嫌》をお勧めしてきた。とくに《上機嫌》は、リーダーの絶必条件と言ってよい。
《不機嫌》なリーダーは、リーダーではなく、ただのボスである。
メンバーの先頭に立って「やろうぜ!」と鼓舞する優れたリーダーではなく、後ろの方から「やれよ」「なんでこんなこともできないの?」と《不機嫌》をふりまく、ダメなボスである。
かと言って、《上機嫌》だけどグータラというのもリーダーではいられない。厳しい時代に「あー、ムリムリムリ」と逃げ回っているだけの方が、ひと様から頼りにされるはずがない。
では《上機嫌なリーダー》であり続けるためには、どうすればよいのか?それがズバリ
「苦しいことに、楽しく(=上機嫌に)取り組み続ける」
その姿を、まず自分自身に見せて自己肯定する。そうして、できればメンバーのみなさんにも背中を見ていただく。
どう見ても困難な(=ラクでない)はずのことに、上機嫌で立ち向かっている、しかもそれが一発芸でなくサスティナブルである。
自分自身も(そして他人さまも)、そういう姿にはじめて「まあ、元気になんかやってるみたいじゃん」と好感をもつのである。
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最近のベストセラー『運動脳』の著者、スウェーデンの精神科医ハンセンさんはこう言っている。
>人間の歴史上、嬰児期を生き抜いたヒトの半分が10代になる前に亡くなってきた。彼らの死因は飢えや脱水、そして感染症など。それらから命を守るためには、カロリーをたくさん摂取し、なおかつそのエネルギーをムダに使わずに脂肪として貯め込めるように進化せざるを得なかった。いままで生き残っている人類は、先祖が本能的に怠け者だったからこそ絶滅しなかった<
.....つまり、いままで生き残っている我々ヒトには、「苦しくない(ラクな)こと」を志向する本性がある。ラクでありさえすれば、「楽しくない」ことにも長期間耐えられる。
これにより、「ラクだけどまったく楽しくない職場(組織、学校、家庭)」などが無数に存在するわけである。というより、多くの方々が穏やかに暮らしていくためには、「楽しくないけど苦しくない(ラク)」な組織を、たくさんこしらえるしかなかった。
こうして、とにかく「苦しくない」ことが、現代の【正義】となった。職場で少しでも「つらい」なら、「つらいです」「傷つけられました」と宣言すれば、腫れ物にさわるかのように丁重に扱ってもらえたりする。
人類史上長きにわたって君臨してきた「《不機嫌》なボス」は、東京都心など一部エリアの組織では絶滅危惧種になりつつある。
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みなさんのようなリーダー層は、メンバーさん達と違って「苦しくない(ラク)」ばかりを追求するわけにもいかない。
マジョリティのメンバーさんたちは、ご自分たちは「楽しくなくてもいいからラク」にしがみつくが、リーダーには「苦しいことに《上機嫌》に立ち向かい続けて偉い!」という勇姿を要求する。
ということだから、このコラムではみなさんと一緒に、「苦しいこと(ラクでないこと)に、楽しく《上機嫌》に取り組み続ける方法」を考え続けているわけです。
さっきのハンセン先生による「《上機嫌》のためのTips」のひとつは、【早歩き】である。
・座っているときよりも早歩きをしたり走ったりしたときのほうが、脳は約20%多く血液を受け取る。血流が増えるということは、脳に届く酸素や栄養が増えるということ
・その効果は運動後1〜2時間ていど続く。したがって、「ここぞ」という試験本番やプレゼンや会議や面接などの会場には、30分くらいかけて早歩きをして向かうとよい
・さらに、この適度な運動を数カ月にわたって定期的に行うと、脳への長期的な影響を与えるBDNF(脳由来神経栄養因子)というタンパク質を、脳が作り始める。BDNFは脳細胞の新生や記憶力、全般的な健康など、脳のさまざまな働きを促進する。BDNFを脳につくらせるには、心拍数が少し上がる運動、たとえば30〜45分間の早歩きを週に3回ほど、これを数カ月も続ければプラスの効果が出る
.....繰り返しかいているとおり、カラダが諦めて脳にエネルギーを分けてあげるようになるには、何週間かはかかる。
それを「めんどくせー」「タイパ悪い〜」と却下するか?
それとも「じゃあ今から始めるか、早歩き!」と決意するか?
いまのあなたは、「数ヶ月前に早歩きを始めなかったことの結果」であり、いま早歩きを始めないあなたは、「数ヶ月後のあなた」の原因である。
TAC USCPA講座/草野 龍太郎 講師