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2022/11/18
成功し続ける方法/502回<「学ぶ」には、まず「運動習慣」が要る>
#502 「学ぶ」には、まず「運動習慣」が要る


学べない社会人は多い。
 
長い間学んでいないからだ。

まず、勉強のピークは高校入試の時だった、という人が少なくない。少子化で大学「全入」時代となり、大学入試はないに等しかった。そのまま楽勝科目だけを選んで卒業し会社勤めを始めた。その後もちろん猛勉強なんか一度もしていない。 

日本の伝統的企業(ジャパントラディショナルカンパニー、JTC)では、雇用イコール「メンバーシップ」であることが多い。大切なのは勉強よりも、自分を評価してくれる方々に従う「メンバーとしての態度」である。「上目遣いで空気を読むチカラ」である。

さて、そんな「JTCメンバー」さんが、ある日突然勉強しなければいけなくなったとしよう。《リ・スキリング》の波が襲ってきたのである。今度ばかりはかわせそうにない。

ところが、学ぶことができない。

決して「アタマが悪い」とか「怠慢だ」というわけではないのだが、どうしても机に向かって教材に集中することができない。

資格の学校に入っても、自分をコントロールしてオンラインで自習することができない。ならばと教室講義に通ってみても、長時間のインプットに耐えられない。

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生活がかかっているのに、学べない社会人さんは多い。それは「長い間学んでいないから」だ。具体的には、脳にエネルギーをまわす方法を、カラダが忘れてしまっているのだ。

成人の脳は体重の約2%の重さに過ぎないが、カロリーの20〜25%を消費する。眠っている間も何もしていない間でも大量のエネルギーを使って各臓器をマネジメントしているのである。ちなみにカラダが未発達の子どもは、脳が消費カロリーの6割を使ってしまつたりするそうだ。

つまり脳の働きの大部分は無意識下で行われているわけだ。しかし、意識して脳にエネルギーを猛烈に使わせることができる。それは「新しいことを学ぶ」ことである。

意外なことに「考える」だけだとそんなに消費エネルギーは増えないという。考えるとは、いままで知っていることを組み合わせている「だけ」だからだ。

その点、知らなかったことを「学ぶ」ときには、脳は特別な機能を起動する。そのステップは以下のようなものだと言われている。

1、まず、初めての事象について、その存在を認める

2、そしてそれが、「今まで自分が知っている何に似ているか」という観点で、脳内サーチする

3、そうして「自分の脳なり」に、その新しい何かを「理解」する

4、そして「記憶」する。これで次回には「まったく新しい事象」ではなくなる

この4ステップをクリアするために、脳は膨大なカロリーを使うのだという。

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ではカラダの立場になってみよう。何万年ものあいだ、ヒトのカラダは(飢え」と戦ってきた。お腹いっぱいになれることなど、30年くらいの人生で何回もないくらいだった。だからこそ、貴重なカロリーを口にできたときには、無駄遣いせずしっかりと脂肪にして貯めこむようになっている。

カラダは苦労してエネルギーをやりくりしている。そこへいきなり脳が「すんませーん、いまから『学ぶ』ので、ちょっと大量にカロリー使わせて下さーい」とリクエストしてくる。そもそもいつもいちばん使っているくせに、さらによこせとはどういう贅沢なのか。

そこでカラダは抵抗する。「ダルくなってやる」わけである。腸などもムカムカと不快感を発する。臓器みんなで脳に対して「やめろー!新しいことを『学ぶ』のを、やめろーー!」と訴えるのである。

そうなのだ。勉強嫌いは、ヒトとしての生存本能なのだ。であるからこそ、若いころから「学ぶクセ」をつけることが大切なのだ。カラダたちを「脳が学ぼうとしたら、諦めてカロリーを渡す」ようにしつけておかないといけないのだ。

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ということで、長年学んでこなかった中高年さんが急に学ぼうとしてもカラダがいうことをきかない(なんなら障害を起こす。俗にストレスと呼ばれる状態)わけである。

ただ、そうもいってられない時代が来てしまった。「学ぶ」ことをしないと瀬戸際に立っているような方々は、

・まずはカラダに対して、「カロリーを貯めずに使い切る」ことを教える。つまり、運動習慣を始める。

・2週間くらいしたら、カラダに対して、「そのカロリーを脳が使ってもいいよね?」としつける。つまり、「運動して→勉強する」という流れを習慣化する。

この順番が、マストである。いきなり勉強してもカラダは許してくれない。無理をするとほんとうに故障しかねない。子どもの運動会のかけっこで大けがする親のようなものだ。

まずは運動習慣からだ。ラジオ体操の第一と第二を毎日やるとよい。それだけでもめちゃくちゃキツイだろう。2週間できたら、体操後にかならず勉強をするようにする。

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若い頃から勉強クセがついている人は、カラダが「どうせ脳が優先」と諦めている。だから猛烈な集中力があるのだ。またそういう方々は驚くほど運動習慣がある人が多い。トライアスロンやマラソンを生活の一部としているエリートさんや経営者さんは珍しくもなんともない。草龍も先日、松本マラソンを走破してきたところだ。

別に40キロ走らなくてもよい。軽い運動で結構なので、とにかく運動習慣をつけること。それは「カラダを鍛える」ためというより、「新しいことを学び続けるため」なのだ。

カラダにはこう言い聞かせよう。あのねカラダくん、脳にカロリー回して、学び続けられる自分に変わろう。そうしないといけないんだ。仕事もらえなくなって、カラダくんが大好きなごはんを、食べていけなくなっちゃうんだよ、と。


TAC USCPA講座/草野龍太郎 講師
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