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部下さんの「面従腹背抵抗」に直面した経理幹部のあなた。びびって逃亡するのはまずいかもしれない。「あの人は、自部署の《時短》すらも出来なかった人だ」というレッテルを貼られてしまいかねません。
貴社がすでに年功序列でないとすると、そういう悪評は今後の昇進に響くかもしれない。さらに下手をするとSNSに悪名を残されてしまい、転職すら難しくなるかもしれない。。。
ですから、部下のみなさんには、あなたが(これまでの前任者さんたちと異なり)逃げずに取り組んだという姿を見ていただかなければなりません。
そのためには、ただ単に「みなさん!時短しましょ〜!」と呼びかけ続けるだけでは足りない。また、「すぐ声をあげる人」と手を組んでしまうのも考えもの。
あなたが取るべき行動は、「チームの秩序をほんとうに取り仕切っている方と、1on1で話すこと」です。
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もしもあなたが経理部門の内部昇格者で、「ほんとうに仕切っている人」がどなたなのかをよーくご存知なら、話は早い。すぐお話ししてください。しかし、あなたがキャリアローテーションで経理部門に来た方だとすると、「ほんとうに仕切っている人」を知らないし、見抜くこともできないかもしれません。
そう言う方は「すぐに声を挙げる」と言うような軽挙はまずなさらない。あなたの呼びかけにメンバーがザワついても、ひとり黙々とチームのルーティンとなっているオペレーションを支えておられる。その方は、中間管理職などのポジションに就いておられないことも多いが、メンバーたちはその方に大きな信頼を置いている。
なので、その方がなにか「新しい事態」に対して後ろ向きな姿勢を見せると、意識的か無意識かは別として全員が影響を受ける。以心伝心で、チームがひとつになるのです.....あなたの《時短》は、「面従腹背」でやり過ごそうと。
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あなたが組織を変えたいと思ったら、まずはこの「秩序をほんとうに仕切っている方」を探し当て、しっかりと話し合わなければいけません。あなたを支持してくださるように、少なくとも不支持を表明しないようにお願いして、OKをいただかなければなりません。
その説得にあたっては、一にも二にも「けっしてウソをつかない」ことです。
なぜ《時短》しなければならないのか?について、ウソをついてキレイゴトを言ってはいけません。社長の思いつきにすぎないなら、そう打ち明けましょう。もしも本当にあなたが自分の得点にしたいだけだということなら、素直にそう言いましょう。
ただし、以下のことだけは、必ずわかってもらってください。
「動機がかりに不純なものであったとしても、《時短》にはあなたたちメンバーにメリットがある。
というのは、われわれが今回行う《時短》は、『会社があなたたちに強いてきたムダ』を無くそう、という運動だからだ。
『あなたたちメンバー(従業員)の働き方にムダがある』という話ではないのだ」
この話を、「ほんとうの仕切り役」の方がハラオチしてくださるまで、粘り強くお話ししてください。
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上記の「真の仕切り役」さんとの対話を最初にしなければ、「改革」はまちがいなく失敗します。それは「仕切り役」にそんたくしたメンバーが、総意でもって「面従腹背」に徹するからです。
ですから、あなたが横すべりで経理部門幹部になった方である場合は、最初の最初、経営の《時短》への意思を伝えて、これまでの不作為を詫びる「前に」、「真の仕切り役」さんを探し当てておかなければならない、ということです。
これが「戦略」というものです。「戦略」strategyとは、やらなければならないことを優先順位通りにこなしていき、やらないと決めたことややってはならないことをしない、ということでした(受講生のみなさんは、Businessで学んだはず)。
あなたが「みなさーん、聞いて下さーい」とアクションを起こす前には、周到な情報活動が絶必なのだということです!
TAC USCPA講座 / 草野 龍太郎 講師