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2022/08/24
成功し続ける方法/490回<業務時間の短縮テクニック(2)>
#490:業務時間の短縮テクニック(2)


今回は、前回のパソコン操作編とはレベルを変えて、「時短を実現するための仕組み」を考えてみましょう。

題材として、「組織でのオンラインカレンダーの共有の仕方」を取り上げたいと思います。

あなたが役員会で重要な報告をすることになっており、そのための資料を部下さんに作ってもらうとしましょう。

するとあなたは、カレンダーに2つの予定を入れるのではないでしょうか。

1つは、報告する役員会の日時。
2つは、資料を事前チェックするための、部下さんとのミーティングの日時。

2つめのチェックの日時を決めるにあたっては、部下さんと「この日時までに私に提出できますか?」と相談しますね。

この2つめについて、【ここが重要→】部下さんとの間で、こう聞いてみませんか。

「その作業、あなたは、いつやってくれるの?」

ここをキチンと部下さんと話し合って、両者合意のうえで、部下さんとあなたの共有スケジュールとして、カレンダーに「部下さんが作業する時間」を登録するようにしませんか?

かりに、その資料をつくるために1時間x5コマ必要だ、と部下さんと合意したとします。
そうしたら、その5コマを、カレンダーに登録するのです。

@ まずトータルの作業時間を指示「この作業を述べ5時間でやってください」

(トータル時間の決定にあたっては、「自分なら何時間でできるか」にこだわりすぎないこと。部下さんの能力を勘案し、部下さんに「これならできそう」とハラオチしていただくことが大切です。)

A「その5時間をカレンダー上に登録してください。1時間x5でもいいし、2+2+1でもいいです」

B【ここがポイント】「その作業時間は、会議に出ているのと同じ扱いにしてください。つまり、私がお願いしている資料作りを優先し、よほどの緊急事態でなければメールやチャットしないでください。他の業務の内職も、しないでください」

C 【これもポイント】「この作業に、今合意した5時間を超える時間を使わないでください。もし5時間で足りないとなったら、それ以上作業する前に必ず私に事前に相談してください」

この4点を、部下さんと事前に話し合うのです。

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しかし、世の中の99%の会社従業員(ホワイトカラー)の方々は、こんなやり方はしていませんね。

「資料作り、あなたにお任せします」
「自分がチェックする日時までに提出してくれれば、いつなんどき、何時間かけて作業してもかまわないよ」

民法を勉強した方はご存知と思いますが、これは「請負」の形態です。いつなんどきどのように作業してもかまわないから、決められた日時までに決められた成果物を納品してくれればいいですよという契約。

しかし部下さんは(そして上司である読者のみなさんも)企業に「雇用」されているわけですよね。そして「雇用」というのは、本来は、成果物を提出するまでの過程も含めて「働き方のすべて」を指揮命令する/される関係です。

「雇用」である以上、管理職のあなたは、部下さんに「期日までの成果物の提出」を求めるだけではダメなのです、本当は。部下さんが期日に成果物を提出するまで、「いつ・どうやって」作業するかまで、しっかりと監督しなければならないのです。

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ところが、たいていの職場では、仕事が「請負チックに」丸投げされているんですよね。「うまいこと時間やりくりして、締切までにやっといてね、できるよね?よろしく!」みたいな感じで。

「請負」は「雇用」と異なり、「いつ・どうやって」作業するかに口を出してはいけない、という契約です。そうです、「任せたよ!」と丸投げするのは、「雇用」なのに「請負」のマネごとをしているということなのです。

だから、あなたの組織の時短はけっして実現しないのです。

部下さんが「5時間ですむ」作業を8時間9時間とかけてしまっても、あなたはそれを察知することすらできない。

翌月頭になって、部下さんの時間外勤務状況を承認する段階ではじめて「おーい部下さん、先月はちょっと残業が多いなあ、困るよ」。そりゃあ言われる方の部下さんこそ困りますよね。

優秀だと尊敬している上司のあなたですらそんなありさまだ、ということに、部下の皆さんはガッカリするわけです。

そういう毎日のガッカリの積み重ねは、部下さんのと突然の離職宣言につながりかねません。

ということで、部下さんに作業をご命令差し上げる際に、せめて「その作業をいつ/なんどきやるのか?」くらいは事前にしっかりと決めて、共有カレンダーに登録する、という新習慣を始めてみませんか?


TAC USCPA講座/草野 龍太郎 講師
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