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2022/06/09
成功し続ける方法/481回<自分のどこが「できない」のかわからない人>
#481: 自分のどこが「できない」のかわからない人


読者の皆さんが日々実力を高めて、それで辛いことがあるとすれば、その一つは「自分を高めようとしない方々との共生」ではないでしょうか。

日本では会社はひとたび人を雇用してしまったら「仕事をしない」くらいのことでは解雇できません。

まして「自分を高めようとしない」など、解雇事由にあたるはずもありません。

そこで、そういう方々と、皆さん、殆ど平等に扱われることになります。お給料に差がつくといっても知れているし、

まして昇格に差がつくと言っても、今時本当に昇格した方がいいかどうかわかりませんもんね。

「自分を高めようとしない方」の中には、ご自分の位置が低いことを知ったうえで、さらに日本の会社ではクビにならないことを踏まえて、

自分を高める必要がないと「賢く」判断する方もおられます。

これに対して、別の「自分を高めようとしない方々」は、ご自分のパフォーマンスが他人と比べてどうなのか、ダメな点があるとすれば具体的に何がどうダメか、

そういう比較をなさらない方々です。

比較をなさらないので、ご自分の位置が低いことが、客観的にお分かりになっていません。

この「比較」と「自己の客観視」は、できる方とできない方がおられるようです。決して人間としての優劣ではありませんが、できる方は教えられなくてもできてしまう。

他人と自己を較べすぎて、無用に心を痛めている方もおられますものね。

皆さんの多くは、ほどよく自己を客観視できる方だと思います。

特に、プレゼンテーションを得意とする方々は、お能のレジェンド・世阿弥(ぜあみ)さんの仰る「離見の見(りけんのけん)」レベルの自己客観視ができることがある。

(幽体離脱ではないですよ!笑)

世阿弥さんは室町時代の方で、ご著書『風姿花伝』は、能の奥義(おうぎ)を次世代に残した書です。

「初心忘るべからず」もここに出てきます。初心者のころに大恥をかきまくりなさい、そしてその屈辱を忘れなければ、サボろうとは思わないでしょうと説いている。

(現代では「よし、始めるぞ!」と決意したあの熱い気持ちを思い出せ、と解釈する方もいるようですが、おそらく『風姿花伝』を読まずにおっしゃっているのでは・・・)

で、「離見の見」ですが、これは観客などの第三者から、自分(たち)がどう見えているかが見えるということです。

「我見(自分からはこう見える)」と「離見(相手からは自分がこう見える)」を超えた視点。

「離見の見」ができる方は、「他人と比べられる」+「自己を客観視」できる、と言えると思います。

「我見」に偏りすぎてはいけない。エゴむき出しの困った人とレッテルを貼られる。

「離見」ならよいというわけでもない。いつも他人に向かって上目遣いになってしまう。あいてのペースに振り回されて、自分ではどうしたらいいかわからない。

いや、どうしたいのかすらわからない。

「我見」「離見」に囚われている方々は、他人と自己を比べることができなかつたり、逆に、比べたはいいが自己を客観視できず、やたら誇大妄想になったり、やたら卑屈になったりします。

まとめますと、皆さんの職場におられるかも知れない「自分が低い位置にいるという自覚がないから、自分を高めようなんて考えもしない方から」は、

そもそも「自分のどこが『できない』のかわからない方々」かも知れません。

その方々は、「離見の見」の能力が足りないのかも知れません。

一方で皆さんは「離見の見」の才に恵まれた方かも知れません。

大人になって資格受験に挑戦し、そこでスコアをつけられるという試練に耐えられる方々ですから、「比べて」「自己客観視」ができちゃうのだと思います。

実はそれは、誰にでも備わった能力ではありません。「タレント(才能)」なのです。

「比べて」「自己客観視」ができない方々と、職場で共存と平等な待遇を強いられることにストレスを感じておられる皆さん。その方々に対して「我見」が強くなっていませんか?

SNS時代です。皆さんに対する「観客」の感想は、下手したら一生消えません。「それは誤解なんだ」と弁解しても、聞いてもらえませんよね。

また、企業のパワハラ防止対策も法令で強化されています。

大事なのは3つの「見」のバランスですよ。相手からの「離見」、そしてまわりからの「離見の見」、

これらを職場やお酒を飲む場や公の場で、決して「忘るべからず」です!もちろんTACの教室でもね。


TAC USCPA講座 草野龍太郎 講師
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