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2022/04/07
成功し続ける方法/473回<「オレは原価知ってるんだよ、安くしてよ」と仰るお客様(や雇用主)>
ピカソさんがレストランで「絵を描いて」と頼まれ、ナフキンにサラサラと描いてあげて「はい、100万円」みたいに言ったら予想通り、

「ピカソさん、あなた30秒の作業でその金額を取るのか」との返答。

ピカソさん「この絵を描けるようになるまで30年かかった、だから制作期間は30年と30秒です。100万円では安過ぎましたか?」

.....あちこちに、「オレは原価知ってるんだぞ、もっと安くできるだろう」と仰る方がいます。

皆さんもプロとしてビジネスしていると、こういうお客様に頻繁に遭遇しますよね。皆さんの仕事の成果を皆さんの作業時間でしか判断できない方々。

クライアントのご質問に皆さんが3分で答えたとします。じゃあフィーは180秒分か、というとそんなはずはない。

その回答ができるようになるまでの何千時間にもわたるトレーニングのおかげで、その回答ができるわけですからね。

資格試験を突破するだけでも、およそ1,000時間を投資しているのです。皆さんのプロフェッショナルとしての仕事の「原価」は、膨大なわけです。
 
決して安売りしてはいけないのはもちろんのこと、切り売りもしてはいけません。

切り売りしないというのは、例えて言えば「お味噌汁は要らないと仰っても、その分まけることはありませんよ」というようなこと。

こんな話があります。ある鉄道会社さんの車両には、グローバル航空会社の『ファーストクラス』を真似たクラスの客席が提供されている。

そのクラスの客席は、路線によって「タダの飲食サービス」がついていたり、いなかったりする。

で、「タダの飲食サービスがない」場合は、2,000円お安くなる。

こういう商売をしてはいけない、ということです。なんでかと言うと、そういう売り方をしてしまうと、

・「クラス」そのもののステータスに対価を払うのではないお客様

・あくまで「ビール何本飲めば普通席との差額の元が取れるか」。その原価計算で、頭の中が一杯であるお客様

が集まってしまうからです。

グローバルエアラインには、『ファーストクラスの客』という層があります。

機材ぐりなどの運用上、ファーストクラス用の席をビジネスクラス席やプレミアムエコノミー席として埋めてしまうことはあっても、

エアラインは『飲食を抜いたりダウングレードしたりして、その分数千円値下げしたファーストクラス』という売り方は、決してしない。

あくまで「クラスを買うお客様」を集めようとしているからです。

もちろん、そういうマーケティングが、これからの大不況の時代にも引き続き通用するかはわかりません。

「タダ酒をたくさん飲んで差額の元をとろうとする方」、つまり「オレは原価知ってるんだぞ、安くしろ」というお客様でも大歓迎!という戦略も大いにアリだと思います。

草龍が申し上げたいことは、最初からそのつもりでやるならよいですよと。

ですが、そんなつもりなく「いつかファーストクラスのお客様に最高のサービスを提供したい!」

とはりきって何千時間もトレーニングしてきたというのに、いつまでも「安くしろ!」のお客様ばかりという状態に陥ってしまっているなら、

それはご自身のマーケティングが間違ってるんじゃないですか?ということです。

「安くしろと迫るお客様」という言い方をしてきましたが、これ、あなたとあなたの雇用主の関係にもあてはまる話です。



TAC USCPA講座 草野龍太郎 講師
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