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#465:自立するコストが高すぎる
「自立」は、年齢を重ねれば自然とできるものではない。「自立しよう」と意識して努力し、試行錯誤を経てようやく「自立」に近づいていく。
自立にはコストがかかるということである。
自分で自分のペースを作り、自分で環境を整え、自分で試行錯誤しながら、自分のやるべきことをどうにかこうにかカタチにする.....自立には、ハンパないコストがかかる。
さて、我々ファイナンスのプロの基本中の基本は「コスト<ベネフィット」だ。では「自立のコスト」より「自立のベネフィット」は大きいだろうか?
多くの方々にとって、答えはノーである。というのも、いまの日本では「自立のベネフィット」があまりに小さい。というより「自立しないベネフィット」があまりに大きい。
すなわち余計なことはしない、ましてトラブルやコンフリクトを招くようなことは決してしない、という方々のベネフィットが大きい。
そのため、わざわざ「自立」を企てる(くわだてる)コストやリスクが嫌われる。「自立するコスト」はリクープできそもない(ペイしそうもない)からだ。
「自立」を嫌う方々には、都合の良いことに、常にどこかの誰かから「正しいやり方」が提供され、スケジュールから解き方からまるっと与えられてきた。
それらに従うことが「ふつう」「まとも」とされてきた。
その結果、いくら年齢を重ねても「自立」を意図して努力したことはないから、どこかの誰かから与えられたことを受け取ることしかしなくなっている。
そういう方々は、与えられるもののクオリティが下がると、驚くほど激しくなにこれとクレームする。与えられる機能が研ぎ澄まされるあまり、与えるどこかの誰かが間違ったときのリアクションは凄まじい。
うっかりミスで、何か「自主的に」行動することを要求しようものなら、全力で
「傷つきました!!」
と叫び、被害者であるとまで主張する。我々には自立する気はないってことを、リスペクトしないのか?くらいの勢いで。
読者の皆さんといえども、「日本では自立はペイしない」という呪いからフリーになるのは、かなり難しいと思う(違ってたらゴメンナサイ)。
したがって、生活のため(ライスワーク)には、圧倒的マジョリティである「自立する気がない人たち」と、トラブルなくやっていかなければならない。
間違っての方々に「自立しましょうよ!」なんて言ってはダメだ。過去と他人は変えられないし、変える権利もない。変えられるのは自分の未来だけである。
かなり近いうちに、それも急に、「自立していないとメシが食えない」という事態が突然やってくるかもしれない。
そのことを心に秘めて、日頃は「自立する気がない」方々との「チーム」を和かに演じることである。
そのウラで「自立している」方々とのネットワークを密かに育てていく。まさに国際資格試験を共闘する仲間との出会いは、ネットワークつくりに最適なんじゃないだろうか。
.....繰り返すけど、「自立する気がない」方々には、「自立ネットワーク作り」のことは知られないようにね!
TAC USCPA講座/草野 龍太郎 講師