TACメールマガジン

 

資格の学校TACTACメールマガジン米国公認会計士バックナンバー

TACメールマガジン 米国公認会計士バックナンバー

米国公認会計士バックナンバー

2022/02/02
成功し続ける方法/464回 <完璧になるまで打席に立たない方々>
#464:完璧になるまで打席に立たない方々


USCPA試験は、75ポイント取れば合格できる。なのに、90ポイントや100ポイントを目指す方がいます。

一つの理由は「誤解」。資格試験を「選抜試験」と思い込んでしまう方々が多い。

我々が慣れ親しんだ「資格試験」の中には、実質的にその仕事に就ける人数を選抜しているものがあります。

合格するとその殆どがその業界で就職できる。だから、不況になるとその業界の重鎮が合格者数を減らそうとする。

その点USCPA試験はいわば「運転免許」の試験と同じで、合格点を取れたら全員合格します。しかし、合格したからといってその資格を使ってメシを食える保証は何もありません。

いいかえると「視力検査」みたいなものでもあるので、不況だろうと好況で人手不足だろうと視力1.2は1.2と測定される。それ以上でもそれ以下でもありません。

さて、75点試験に100点取ろうとしてしまうもう一つの原因は「理想が高すぎる」ことです。

そういう方々には共通点があります。それは英語が喋れないことです。

文法が完璧でなければならない、発音が完璧でなければならない、とにかく完璧にペラペラでなければならない、という調子で、「完璧な英語」でなければ口にしようとしないからです。

ネイティブでない大人が「完璧英語」を身に着けるのは大変困難です。

現実的に達成できるレベルとは、日常的なコミュニケーションがどうにかこうにか通じる、そしてビジネスにおいては本当に重要な話は自力ではできない、という程度ではないでしょうか。

ただし考えてみると、「完璧な英語」だろうと「デタラメな英語」だろうと、どっちにせよ1回で意思疎通できることはまずないわけです。

最低でも7回は繰り返さないといけない。これは日本語のコミュニケーションでも一緒ですよね?

だから、完璧英語でも7回繰り返さないといけないのです。逆に不完璧英語でも、7回伝えようとすればいいのです。

格好悪かろうと何だろうと、これが堂々とできる人が、結局「英語を使える」ようになっていきます。

そういうことはどうしてもできないという方。USCPA試験も、まず受かる受からないの前に「受けない」ですね。

完璧になるまで申し込みしない、完璧じゃないから棄権する、なんて方もけっこうおられます。

そうやってる間に、「完璧でもなんでもない方々」が、試験では75点スレスレで受かるだけ受かり、コミュニケーションでもよくわからない英語なんだけど、とにかく熱意を持って何度も繰り返してる。

なんなら外国人相手にジョークでも言いながら、会計や経営に関するコミュニケーションを取っている。

完璧を目指す方はそれを見て、ああなんてことだ、よりによってあんな「ニセモノ」が、、、と不愉快になります。嫉妬します。

でも、外国人とのビジネスシーンに呼ばれるのは、「完璧を目指してまだ試験も受けていないし英語を決して口にすることもないあなた」ではありません。

「試験はスレスレでパスし、英語は文法も発音も完璧とほど遠い、あんなヤツ」なのです。

そして「不完璧なアイツ」は、ただ嫉妬しているだけのあなたと異なり、とにかく場数をこなしていきます。

そりゃあとんでもない失敗もするでしょう、めちゃくちゃ恥ずかしい目にもあうでしよう。そのことも次の会話のネタにするくらいの勢いで、さらに「打席数」を稼いでいく。

知り合いも増える。評判も立つ。何より実績が積み重なる。

いつの間にか、「アイツ」とあなたの差は、月と地球くらい離れています。

それでもあなたは、「アイツは英語が下手で、会計の知識も乏しい」「おれのほうが優れている」「それなのになぜオレは呼ばれないんだ」と憤っている。

そうして不機嫌の絶頂のまま「完璧」を目指し続けるあなたは、超・難しい論点や、決して時間内に解けない問題などにずーっと引っかかって、貴重な時間を費やしていく。

野球のイチローさんや落合さんは「完璧」に近づいた方々だと思われます。

自分にも厳しいことで知られる彼らといえども、「完璧になるまで打席には立たない」とは考えてなかったんじゃないでしょうか。

どんなに練習しても、その成果は試合に出ることでしか確認できませんもんね。

もちろん日本社会はこれからも変わらず「減点主義」でしょう。

ですから、幼いころからの呪縛を解いて「完璧じゃなくてもいいんだ」と思えるようになるのは、カンタンなことではありません。

意識改革はどこから始めましょうか?もちろん自分の環境からです。

できる限り、「ヘタなのにガンガン打席に立っている人たち」とお付き合いを増やすようにする。

いや、その前に、「ヘタなのにガンガン打席に立っている人たち」をバカにするのをやめるところから、ですかね。


TAC USCPA講座/草野 龍太郎 講師
TACメールマガジントップへ
資格の学校TACのご案内