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#462 熱い決意はパッキーンと折れる
今年も52週のうち3週が終わった。
年始に「今年こそがんばります」「干支にちなんで将来の仕込みに励みます」などの決意表明をした皆さんは、どのように実践しておられるだろうか。
ヒマなときにした決意は、忙しくなるととたんに忘れられる。年末年始のまとまった時間で本を読み(ビジネス書や自己啓発本)、この通りにやるぞ!今年こそは!と気持ちが高ぶる。
よくわかる。草龍も、本を読むたびにそうなる。週に4冊は読むので、週に4回、年間200回は燃え上がっている。
ただ、その燃えるような決意は、驚くほど長続きしない。
休みが明けて通常スケジュールに戻り、去年のようにまたトラブルが2つ3つと重なってみれば、いつしか「今年は!」の気持ちは氷のように冷え切っている。
そもそも。「願望」のコンバージョン(達成)は、殆どの場合、長期戦である。持久戦である。来る日も来る日もずーっと続けるということによって「のみ」実現される。
仮に数日間は「今年は!」の熱さで無理を無理と思わなくても、その無理が続けば、かならずココロやカラダにしわよせがくる。
自分には来なくても、同居する家族や、身近な同僚にもしわがよる。そのうちどこか弱いところが「パッキーン」と音を立てて割れる。
草龍もランニングにハマり、2021年は月間200キロ以上走ってきたけれど、晩秋にヒザを「パッキーン」と壊して、走るどころか歩くのにも難儀するようになった。絵に描いたような失敗である。
年始に限らないけど、してしまった熱い決意を実らせるのに必要なのは、強い決意や意思ではない。
それがいちばん「パッキーン」と壊れる、危ない。そういう成功体験(精神論)を聞くこともあるだろうが、再現性はまったくないと思った方がよし。
真に必要なのは情熱ではない。冷静である。長きにわたって継続するのは、ド派手に「うまい!うまい!」と燃える炎ではない。
水のように白けた気持ちで殆ど機械的に継続できること、それ以外はそのうち妄想に終わる。そうして皆さんは自責、もしくは他責に陥る。
さて、皆さんは、初歩と基本の違いがわかるだろうか?初歩には二度と戻ってはいけない。基本には一生戻り続けなければいけない。
ちなみに世阿弥さんの「初心忘るべからず」は、「基本を大切に」という意味で普及している。
ほんとはもっとキツい説教で、「初歩のころにどんだけお前が酷かったか、その屈辱を忘れるな。あれは二度とダメ絶対だ、わかったな?」という戒めらしい。知らんけど。
ともあれ、基本ができているとは、長期戦のスケジュールが立てられるということなんだ。
「このテキストを学ぶのに必要な期間は本来なら1日2時間で3ヶ月ほどだな」「しかしこの3ヶ月は、1日で学習に割ける時間は1時間しかないな」「なのでこれは5〜6か月かかるな」といった感じだ。
それに対して初歩の方は、「3ヶ月後には合格します!して見せます!!やります!!!」と叫ぶ。これは初歩の方に共通したことなのであなただけのしくじりではない。
何かを達成する道のりで、成功した経験と大失敗した経験の両方とも不足しているために、具体的に実行可能な(しかも、シラーッと冷ややかな気分であっても実行可能な)スケジュールを立てることは、初歩の方々には、無理なのだ。
ということで、初歩の方々は、年始の誓願を達成するためには、スケジュール立案を「基本ができている人」に頼んだほうがよい。
自分だけでなく多くの方々が、初期の燃える目標をロストし、挫折し、途中で投げ出すのを見ていた人に相談するのが良い。
自分だけでなく多くの方が、冷ややかにしらけつつ目標を達成するのを見てきた人がよい。
とはいえ、こういう自分にとって一番大事なこと、だけど自分一人ではできないことを、他人に頼むってことが、できない。我々日本人は「人に相談しないことが自立」と誤解しているからね。
だから今年も、色んなことが初歩のまま、3週間が終わり、52週間が終わり、520週間が終わっていく。本当は、「相談できる人がたくさんいることが、真の自立」なんだけどねえ。
そうか!さすが草龍、いいこと言うなあ。よし、今年は、真に自立することを目指して、どんどん色んな人に相談しまくるぞ!!!
.....その熱い気持ちで、パッキーンといかないようにね!
TAC USCPA講座/草野龍太郎 講師