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#454 恐れられる経理、尊敬される経理
動物は他者を「恐れ」ますが、「尊敬」はしません(多分)。他者を「尊敬」できるのは人間の特性です。
そして、他「人」から「尊敬」されたいというのも、人間だけの欲求です。
経理プロフェッショナルパーソンの皆さん。サービスを提供する相手の方々(社内の他部門の皆さん)に、こちらのお願いを聞いていただかなければいけないことは、
とても多いですよね。その際、「相手への尊敬」ことを忘れないようにしましょう。何をいまさら、と思われるかもしれませんが、本当に大事なことです。
「こちらから尊敬する」の対極にあるのが、「相手にこちらを恐れさせる」です。怖がらせることで言うことをきかせる」。
とはいえ、昔と違い、ズバリ自分自身が「怖い」存在になるのは、今日のオフィスではめちゃくちゃリスクが高い(ハラスメント認定されやすい)。
そこで若干のテクニックを用いる。それは、
「わたしの言うことを聞かないと、わたし自身は平気なんですけど、あなたが困ると思いますよ。これこれこういう恐ろしい災厄(さいやく)があなたに降りかかりかねませんから」
虎の威を借る作戦ですね。
これ、子どものしつけにもよく使われる手です。「ほら、先生に/お巡りさんに/あのおじさんに叱られるよ」ってやつ。
自分の責任は回避しつつ、子どもを恐れさせる技ですね。お母さんが叱ってるんじゃないのよ、あのうるさそうな人が睨んでいたのよ。
このように「恐れさせる」コミュニケーションのなにが悪いかというと、相手への「尊敬」が足りないことです。
まさに親が子を「しつける」ごとく、相手が自分より格下だと判断して脅すわけですよね。
未熟で稚拙なコミュニケーションだと思います。こういう態度によって、「いやあ、いいこと教えてもらえた、感謝感謝!」と愛される経理になること、ありうるでしょうか?
それより、恐れられる経理、もっというと嫌われる経理を作り出す元凶でしかないのではないでしょうか。
《昭和》的行動様式の特徴は、相手への「尊敬」がない方々がハバをきかせていたこと。年下・シロウト・弱者そしてマイノリティに対して、
「尊敬」ではなく「恐れさせる」「ビビらせる」というコミュニケーションが珍しくなかった。というかある種の「権威」とすらみなされていました。
・おれは聞いてないよ?
・ウチを通さずに商売できると思ってるの?
・ここを辞めるようじゃどこに行っても通用しないよ
などの言い方ですね。
しかし、時代は大きく変わっています。相手へのリスペクトが著しく欠如し続けている方々は、むかしなら「◯◯さんだから仕方ない」で済んでいた。
しかし昨今では、本当に誰からも相手にされなくなりかねません。「恐れさせる」ような人は、「人間的にどうなんだろう」とみなされる。そういうのが割と普通になってきました。
他人から「愛されよう」と努めることは、それはそれで芳しくない結果に繋がることも多いです。
しかし、わざわざ「怖がられよう」とするのはコスパが悪すぎます。そうすることで相手が言うことを聞いてくれるならまだしも、反感を買うどころか「人格に問題がある」などと風評が立ったら目も当てられません。
そもそも「恐い経理」作戦は、太陽より北風のほうが自分の仕事が速くうまくいく時代の遺物です。むしろ北風のほうが時間とストレスのコストがかかる時代になったのです。
そうすると、それこそ、資格試験に取り組むなどの、ご自分を高めるための大切な時間が、減ってしまいますよね!
ということで、ご自分が北風派だと心当たりのある方、早々に太陽作戦に宗旨替えしましょう。コンセプトは、みなさんがサービスを提供するお相手への「尊敬」です!
TAC USCPA講座/草野龍太郎 講師