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2021/10/27
成功し続ける方法/452回 <大事なのは覚える力でなく「思い出すチカラ」>
#452 大事なのは覚える力でなく「思い出すチカラ」

「わたし最近記憶力がないもので.....」

と悩んでおられる受講生さんが、結構おられます。今日はその愁訴(しゅうそ)にお答えしましょう。

まずは大前提。

「記憶力低下は、加齢のせいではない(※)」

このことは散々実証されています。それこそ忘れないようにしてくださいね(笑)。

(※ もちろん、加齢に伴う認知にかかるご病気などは、別の話です)

でも、歳をとると色んなことが思い出せなくなる。なぜなのか?

それは、物事を記憶の中から探すことに時間がかかる(かかりすぎる)ということなのです。

そりゃそうでしょう。人生経験を重ねるにつれ「一度覚えたこと」が増えます。それらを、日頃から整理整頓していなければ、どこに何があるか、パッとわかるはずないじゃないですか。

そう、問題なのは「覚えられない」ことではありません。「思い出せるように整理できていないこと」なのです。

言い換えると、仕事でも勉強でも、大人になったら子どもの頃と違って、「ただ覚えまくる」だけではダメ。それだとひたすら取り散らかってしまい、思い出そうにも探しきれないからです。

お部屋を片付けるにはどうしますか?まずは収納棚を用意しますよね?そして、散らかったモノたちを、その棚に、整理して収納する。そして、棚のどこに何をしまっているかを、しょっちゅうリマインドする。

記憶も同じです。これらの「不断の努力」なしには、覚えようと頑張ろうとも、いや、むしろ覚えれば覚えるほどに、「思い出す」ことができなくなるのです。

資格試験トレーニングで、整理をせずがむしゃらに「努力」する人が、早々に離脱するのはこのせいです。それを「歳のせい」と言い訳するのは、ただの自己防衛。

繰り返しますが、歳によって「覚える力」が衰えることがまずいのではありません。

それよりも、歳によって記憶が膨大になっていく、それなのに、片づけの方法を子供のころから鍛えててこなかった。その結果、脳がゴミ屋敷状態になってるということかもしれないのです。

===

てことで、まずは、「脳の本棚」を意識するようにしましょう。そうすると、「睡眠中の記憶統合作業」がすんなり行くようになるそうです。

日中に経験したことは、脳の「海馬」に短期メモリされる。その中で、今後も思い出すことがあるだろうデータを、長期メモリ=脳の本棚に整理統合してしまい込む作業。

それが「睡眠中の記憶整理統合」です。

(この作業中に夢を見るという説がある)

単に肉体の疲れを取るだけなら数時間の睡眠で十分かもですが、メモリー整理のためには7〜8時間を要する人が多いようです。

つまり、長く寝られない方の短期記憶は、本棚にしまいきれないままに、日々消えてしまう。

この点で、飲酒は考えものなのです。酔うと寝つきはよくなるかもしれませんが、睡眠中のメモリ整理作業の質が落ちるのです。

これが俗に「飲酒で眠りの質が落ちる」というやつです。懸命に勉強して悟りや気づきを得たとしても、長期記憶として残りにくくなってしまいます。受験生としては大きなロスですよね〜。

逆に、睡眠前の入浴や、軽いストレッチなどで脳の血流をよくしてから眠りにつくと、酸素が脳に供給されて記憶整理力が高まると言われます。

繰り返しますが、記憶をぐいぐい詰め込めるようになるのではありません。「あとで取り出せるように整理して収納する」という、睡眠中の作業の効率が増すのです。

===

少し話がそれたので、要点を繰り返しますね。

インプット勉強で「とりあえず海馬に短期記憶する」ところまでは、皆さん自分で思ってるよりもかなり出来ている、と思ったほうがよいです。しかし差がつくのはその先。

短期記憶を睡眠中に選別・整理して、長期記憶として収納できるか。これが第一関門。そして、整理のおかげで、問題を解く際に思い出すことができるかが第二関門。

この二つの関門で、サバイバルの差がつくわけです。

第一関門の整理は、「よく寝る」ことが重要ですが、それだけではクリアできません。用意してあるつもりの「本棚」がポンコツだと、どんなに時間をかけても整理のしようがない。

勝負は「本棚を作る」ところから。子供の時からハードな受験などに慣れている方は、この作業が上手いのです。

彼らはどう本棚を作っているかというと「試験本番でどうやって記憶を引き出すか」というところから逆算するのです。

これは何に似ているかというと、、、SNSにアップするときに、検索に引っかかるように「#」ハッシュタグを付けますよね?このタグが「本棚」に相当するわけです。

記憶にタグ付けをすれば、試験本番でも検索しやすい。逆にいえば、「勉強ができる人」というのは、短期記憶インプットの際に、本番で検索しやすいようなタグ付けをしているわけです。

例:
?「取得コスト」というターム(用語)に「減価償却」というタグを付ける。

試験本番で「減価償却」と聞いた瞬間「取得コスト」というタームを連想する。

?もう少し勉強が進むと、「取得コスト」だけでなく「耐用年数」「償却方法」「残存価額」というタームにも「減価償却」というタグを付ける。

?更に進化すると、「減価償却の最重要タグは4つ」ということまで覚えている。
(このことを、メタタグといいます)

すると

試験本番で「減価償却」と聞いた瞬間に思い出すことができる。「必要要素は4つ」で、それは「取得コスト・期間・償却方法・残存価額」であると。

?更に進化すると、「取得コスト」という言葉には「減価償却」のほかに、「付随費用」「税務上のベイシス」「減損」などなどのタグも付けられるようになる。

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ご理解いただけたでしょうか?試験本番で思い出すための記憶法は、記憶対象にタグを付けていくこと。

勉強が進んだ人というのは「タグ付けした記憶対象が多い」「一つの記憶対象に付いているタグも多い」ということなのです。

更には(ここからは複雑なことが書いてありますから飛ばしてもいいです)、、、

記憶対象にタグを付けるということは、タグを記憶対象として記憶対象をタグとしている、と言うことでもあります

(「減価償却」が「取得原価」のタグであるということは、逆に「取得原価」が「減価償却」のタグでもあるということ)

こうやって、”m”個のタームと”n”個のタームが、お互いに記憶対象となりタグとなって絡み合う。

「デキる人」のアタマの本棚は、このように記憶がネットワーク化されているのです。これによって記憶を呼び起こしやすくしているわけです。

===

記憶の本棚ネットワーク。せっかく作り上げたあと、実はメンテナンスが必要です。すなわち、思い出す訓練、整理して保持したものをアウトプットする訓練を続けることです。

受験トレーニングで言えば、アウトプットの代表は問題を解くことですよね。その際に、問題を解くだけでは勿体ないです。

記憶タグのネットワークが最大限に活性化されるのは、「他人に説明する時」なのですよ。

「問題を解く」時には、必ず、「他人に向かって解いてみせてあげる」「どうやって解くか教えてあげる」というようにやってください。

もちろんバーチャルで、一人で架空の誰かさんに対して、です。TACの講師になりきるのがいちばんいいでしょう。いや、真面目に言っています。

「ハイ、これは『減価償却』の問題ですね。そう察知した瞬間に、タグが4つ思い浮かびますよね?そう!『コスト』『デュレーション』『メソッド』『サルベージ』ですね!

ところがこの問題では、4つのうち3つしか与えられていませんね、ということは最後の1つを逆算しろという要求なわけで.....」

みたいな感じ。

みなさん、タグ付けできてますか〜、と受講生さんたちに問いかける(仮想ですよ)ことで、自分自身の脳内タグネットワークに水を流してイキイキと再活性化させることができるわけです。これぞ「Teaching is learning 」です。

説明がうまい人、わかりやすい人、ムズカシイことをカンタンに説明出来る人は、このように「タグネットワーク」で説明しようとしています。

そのため、「何かに例える」という手法も得意なのです。

これからの厳しい時代、ちょっと昔のように「日本に住んでいる日本人が仕事を選り好みできる」のは難しい。

他の方々よりも多くのお仕事のオファーが来なければ、サバイバルできません。となると、「説明が上手だ」と言われるほうが有利ですよね?

そう、大事なのは記憶力ではなく説明できるチカラ。説明できる人というのは、「いつか説明するとき」から逆算して、経験や知識にタグを付けている。

そして、寝ている間にタグネットワークを育てている。

起きている間には「説明」の機会を逃さない。「説明」するとは「タグを思い出す」ことであり、それによってタグネットワークを活性化する貴重なチャンスだからです。

ということで、もう忘れていたかもしれませんが、今日のお題は「歳のせいで記憶力が.....」という言い訳をしない方が、サバイバルできる確率が高まりますよ、というお話でした。


TAC USCPA講座/草野龍太郎 講師
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