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#446 成長し続けるための8原則(6の2)
相手に好印象をもってもらえる方法の一つは「相手が前回話したことを覚えている」こと。
これは仕事でも仕事以外でも同じ。売れない営業・モテない人は、相手の発言をすっかり忘れ、同じ話をとうとうと繰り返します。
資格試験勉強も、同じ...たぶんね。
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「資格試験勉強はトレーニングである。そのトレーニングを継続・成功させるための条件は何か?
(何をすべきで、何をすべきでないか?」
前回まで6つの原則をご紹介してきました。その6つ目の原則に関して、今回ちょっと寄り道させてください。
??原則6 <<反復性 >>
「トレーニングは、反復しないと、獲得した能力を維持できない」
「0.8の7乗は0.2」法則です。1回目のトライアルで理解できないことが8割だとしても、7回繰り返せば理解できないことが2割に減ります。
そう信じて、「2回や3回しか繰り返していないくせに『覚えられない』などと諦めない、嘆かない」
と言う態度で、真摯にレペティショントレーニングを続けてください。
というのが前回の話でした。ここからが寄り道。
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お仕事のシーンなどで、「7回言っても話を覚えない・理解しない」方々。確かにいらっしゃいますね。
そう言う人に限って、返事はとてもよい。「はい!」「はい!」「YES!!」と言うんだけど、実は全く聞いていない。
その証拠に、今言った話(すでに9回目)を復唱していただくと、トンチンカンなことを言う。
これは、原則6「0.8の7乗は0.2」法則と、矛盾するようにみえます。がしかし、実はそうではないのです。
「何度言えばわかってくれるの!?」
「えーと、30回です」
っていう話なんです。
原則6でご紹介した、マジックナンバー7回繰り返し。
1回でわかってもらえない割合が0.8、
2回目では0.64、
3回目では0.512、
7回目で0.2097
ということなんですが、これあくまで「平均値」です。
こちらの話を聞いてわかるレシオが高い方もおられます。1回あたり、0.2ではなく0.4とか。この方に対する「話が伝わらない率」は、1回目で0.6。
そして、わずか3回繰り返すだけで「伝わらない率」は0.216に達する。
世の平均は7回なのに、その半分以下の回数で話が通じるということです。
この逆に、0.1とか、0.05とか、とても低い方もおられる。この方への「話が伝わらない率」が0.95だとすると、7回繰り返しても「伝わらない率」は0.7。
それを0.2まで減らすには、なんと30回繰り返さないといけません。
「何度言えばわかってくれるの?」「30回です」という状態ですね。
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こちらからは、真剣に集中して話を聞いてくれているように見える。なのに、どうして話を5%しか聞いていないのか?それは、話を聞こうとしながらも、脳が勝手に
「いかに自分が責められないか」ばかりを考えてしまうからかもしれません。
相手はどうしてほしいのか、とか、要するに結果はどうなればいいのか、ではない。
「どうすりゃ自分が叱られないか」というフィルターが、ぶ厚くかかってしまっているのです。
このため、組織の全体平均で7回繰り返せば伝わる話が、どうしても伝わらない方々がおられる、ということになる。
こういう方々の第一優先順位は「どうすれば自分が被弾しないか」なものですから、「わかりましたか?」と聞くと返事はものすごくいいのです。
「わかっていなくてもとにかく返事は『ハイ』か『YES』」と、脳が自動反応するんですよね。
お互いのために、またチーム全体のためにも、この方々に対しては「その場ですぐに復唱していただく」と言う習慣をつけるに限ります。
復唱していただくと、凄まじくとんちんかんなことを言われますが、絶対にそこでキレてはいけません。
「この組織では、わからなくても叱られないんだ」
「この組織では、わからないことは『わかりません、もう一度お願いします』とリクエストしていいんだ」
「この組織では、わからないままに勝手に自己判断ですすめる(もしくは放置する)ほうがよっぽど迷惑なんだ」
上記の3つを、その方々に「ハラオチ」していただかなければ、「聞いてもわからない率が95%状態」は永遠に解消しないからです。
これが昨今、「組織の心理的安全性」と呼ばれるものです。わからないことを隠さないですむチーム、お互いの弱み(できないこと)を見せ合えるチームこそが、本当に強いということです。
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本題の、皆さんご自身の資格試験勉強の話に戻りましょう。
皆さんのほとんどは、「聞いてわからない率」が平均よりも少ない方々だと思います。7回といわず、6回・5回のレペティシヨンで理解率8割に到達できるでしょう。
ただ、そんな皆さんでも、まれに論点によっては、「どうしても何回インプットしても身に付かない」ことがあるかもしれません。
論点に対して苦手意識が心の奥底にあると、皆さんといえども一時的に脳が構えているのかもしれません。
つまり、上で紹介した「自分が怒られないことを第一優先に考える職場の人」状態になっているかもしれないのです。
7回で8割わかればいいのです。
7回でだめなら8回、10回、30回繰り返せばいいのです。
繰り返しの回数が増えることを恥ずかしく思うことこそ恥ずかしいのです。繰り返しの回数が少ないからカッコいいのではありません。
「8割方わかる」ところまで、繰り返しができたこと、それこそが真に、自分的に映えるということなのです。
「継続は力」といいますよね?今日からこれをより具体的に
<<繰り返せることこそ力 >>
と、あなたのハラに刻んでください!
TAC USCPA講座/草野龍太郎講師