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2021/06/16
成功し続ける方法/437回 <正解を覚えている人より、問題を立てられる人>
#437 正解を覚えている人より、問題を立てられる人


論壇で活躍する山口周さん。彼が「昭和的価値観」と呼んでおられるものの代表3つが

モノ
便利
正しい解答

です。

今世の中で<<二極化>>が深刻化していますが、これは、上記3つに代表される「価値」を大切にし続ける方々と、

これらはもうあまり「価値」がないと考える方々との分裂であるとも言えます。

「モノを持ち、便利を手に入れ、正解を身につけたとき、自分の価値が上がる」という方々と、「モノはなるべく持たず、不便にあえて取り組み、正解を求めない方が、自分の価値が上がる」

と考える方々の分裂です。

ところで、皆さんもBusinessで勉強される通り、経済学の基本中の基本は「代わりがきかないもの(希少)は価値が高く、代わりがいくらでもあるもの(過剰)の価値は少ない」です。

モノがない時代や場所では、「モノ」をたくさん持てることに価値がある。俺の家はデカい。時計は高い。私のクローゼットは服とカバンと靴で溢れている。

モノを持っている私は、価値がある人間である。

不便な時代には、「便利」な道具やサービスを使えることに価値がある。クルマですぐに動けたらいいな。電子レンジですぐに調理できるなんてすごいな。

郵便で、電話で、FAXで、すぐに通信できたらどれだけ便利だろう。

そして、「正しい解答」。問題だらけ(問題が<<過剰>>)の状況においては、それに対する「正解」に希少価値がある。

価値があるから、多くの人が「正解」を出せる人になれるように努力し競争する。そして、与えられた問題を解けるように、子供たちを訓練する。

これら昭和の価値観「モノ」「便利」「正解」が、いまや<<過剰>>になったのではないか。そうなると、「モノ」「便利」「正解」をありがたがらない方々が増えるのは、自然なことです。

「モノ」は必要なときに借りられさえすればよい、ということで、サブスクサービスが盛んになっている。

海や山であえて「不便」に大量の体力と時間を消費(投資?)する方々が激増。わざわざ自分の脚で42キロ走ろうというマラソン参加が空前のブーム。

そして「正解」も、ググり方さえ知っていれば、割と容易に検索できてしまう。つまり正解が<<過剰>>になってしまったわけです。

そのことに気づいた方々は、「与えられた問題を解ける」よりも、「新しい問題を見つけ出せる」ことを、大切にし始めている。

「問題を解くことができる」ことが<<過剰>>になり、その反対に「問題をつくることができる」ということの<<希少>>価値があがっている。

このことは、これからのサバイバルにあたり、ぜひ覚えておかれるとよろしいですよ。

我々の業界でわかりやすく言えば、「顧客に質問されたら、正解を返事してあげます」という古典的「課題解決型」サービスが<<過剰>>になったということです。

この業界に新規参入する先生方は、先輩と同じ「聞かれたら答える」スタンスでは、顧客に価値を認めていただきにくくなっている。

ですから、プロアクティブに(=顧客から要望されなくても)顧客の問題を見出して解決を促すような<<希少>>なコンサルティングができる。

そういうプロになることを目指したほうがよいですよ、ということです。

そういう動きをすると、「モノ・便利・正解」時代の先輩方は、「余計なサービスして、負担を増やすんじゃないよ」と仰るかもしれません(というか、大抵仰る)が、

忘れてはならないことは、そういう先輩の方々がこの先もあなたとあなたの家族を守ってくれる保証はないということです。

言うまでもないですが、誰だって、よく知らない人から「わたしはプロです。おたく、問題ありますよ!」と迫られても、何かの押し売りとしか思いませんよね。

だからこそ、いろんなプロフェッショナルの方々が、YouTubeやブログやオンラインセミナーや書籍出版を駆使して、

「自分は、これこれこういう風に『新たに問題を見出すことができる』プロですよ」

とアピールしているわけです。ここ数年、ネット記事に頻繁にみられる「なぜ〇〇は▲▲▲なのか?」というタイトルは、そういう「問題発見型」のアピールなんです。

皆さんも早くそういう発信を始めたいですね。二極化はどんどん進行しており、この先勝ち残る顧客に皆さんが選んでもらえる猶予は、あまり残っていません。

そのためにも、まずは資格試験、つまり与えられた課題に「正解」を返す能力のテストは、最少の時間で突破しておきたいのです!皆さん、間違っても高得点狙い戦略をとらないように。


TAC USCPA講座/草野龍太郎講師
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