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2021/06/09
成功し続ける方法/436回 <みんなが話を最後まで聞けるわけではない>
#436 みんなが話を最後まで聞けるわけではない


みなさんこんにちは、草龍です。いつも私の長い文章を読んで下さり、ありがとうございます。

長い文章を読む方・読むことができる方・読んで理解出来る方は、元々そんなに多くはおられません。

(いつもと同じで、「長い文章を読む方が「人間として優秀」だ、などというつもりは全くありません。

ある特定の能力のあるなしという客観的な事実だけを論じています。「走るのが速い」「声が大きい」と同じです。)

しかし人類は、突然、大量の文字に一日中触れるようになりました。そう、ITです。

ネットがだいぶ行き渡り、スマホも普及拡大していった2015年頃までは、そこで流通された情報はほとんどが文字でした。

その結果、世の中に「長い文章を読まない/読めない方」がものすごくたくさんおられることが、誰の目にもハッキリしました。

決して「ネット時代になって読める方が減った」のではありません。元々多くはないのです。

その後、ネット回線はどんどん太く速くなってきて、文字だけでなく写真がバンバン送れるようになりました。

片やスマホのカメラの発達も驚異的で、人類は史上最多の写真に囲まれて生きるようになりました。大量の写真に一日中触れており、自分自身でも大量に写真を撮る。

さらにその後は、音声がドシドシ送れるようになります(LINEはもともと「無料で電話できるアプリ」として始まった)。

そして、いまはYouTubeなどの動画コンテンツが全盛ですね。zoomなどの会議サービスは、動画+音声+文字情報のハイブリッドです。

このように、ネットで爆発的に増えた文字情報や画像は、人々が「紙の新聞」や「書籍」を読む時間を奪っていきました。

ネットで音声が容易にやり取りできるようになると、有料の電話に取って代わるようになりました。

動画もスイスイとリアルタイムで送受信できるようになり、テレビ放送を観る人が減りました。さらにリモート会議サービスは「出社」「訪問」「出張」をリプレイスしています。

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この急激な変化は、大量に「新しいサービスが使えない」「覚えられない」と言う方を生み出しました。

これも「長い文章を読む能力」と同じで、個人差がとても大きい。そして、出来るからえらい・出来ないからダメだと言うわけではありません。

新しいサービスに対して必ず拒否反応を示す方々は、何か確たる信念やポリシーに基づいて拒否しているのではなく、むしろ対応したくても出来ないと言う方がおられます。

新技術が何なのか、よく分からないので対応できない。そういう方々は、何の能力が欠けているかと言うと、

「長い話を最後まで聞き切ることが苦手」と言うことです。

新しい仕組みを学ぶには、全体像を知り、詳細を知り、そして例外事項を知らないといけない。それらの説明は、さすがに一回は全部聞かないと自力では分からない。

そして、近年の新しいサービスは、どんどん複雑になり機能もどんどんアップデートされていくので、必要な説明も長くなる。

と言うことで、「長い説明を最後まで聞く能力」のあるなしが、新しいテクノロジーを受け入れて使いこなすことができるようになるかどうかの成否を分けるようになったのです。

よく「年寄りはITに弱い」と言いますが、周りを見ますと「年齢は関係ない」と感じる方も多いと思います。それは半分は正しく半分は間違っている。

年齢が高いとテクノロジーに弱いということは全くないのですが、年齢が高くなるのに応じて「他人の話を最後まで聞ききる集中力が落ちてくる」のは、これは事実です。

このため、年配の方にいつまでもパソコンやスマホを使えない方が傾向として多くなりますが、年齢が若い方であっても「長い話を最後まで聞けない」方は、新しいものについていこうとしません。

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新しい仕組みやサービスやテクノロジーについて、長い説明を最後まで聞けないために、「よく分からない、それはいやだ」と言う方々。

さすがに「説明を最後まで聞けないので反対」とは言いにくいので、抵抗の方法は「自分はこの新しいものの導入によつて、精神的な被害を受けている」と声をあげる、というやり方が定着してきました。

「説明の仕方が乱暴だ、私たちを大事にしていない、もう聞いてやらない。」

それを言われると、新しいものを導入しようとする方々は、何も言えなくなりますよね。

ここまで読んでくださったみなさんは、どちらかと言うと「長い説明を最後まで聞く」ことができる方が多いと思います。

従って、新しい仕組みやテクノロジーの説明をよく聞いて、「これはいいな」と導入のリーダーシップをとる機会もあると推察します。

その際、「抵抗勢力」に何度も潰されそうになるわけですが、その方々の常套句は「説明が乱暴で分かりにくい→せっかくこちらは聞いてやろうと思ったのに→もう聞く耳なくなった」です。

きっとそう言われると最初からわかっていれば、ショックをうけることはありません。「わかりにくい!」と文句言われたら、すかさず「こちらの説明がわかりにくくて申し訳なかった」と謝り

(ここで深く頭を下げないとだめ!)、説明をしなおすこと。

その再説明の際は、

・全体像を語ろうとしない
・詳細も語ろうとしない
・例外も語ろうとしない

という3つの鉄則を守りましょう。

「そんなんじゃあ、新しい仕組みについて、何も伝えられないよ」と思われるかもしれませんが、

「10を伝えようとして、反感を買い、1すらも伝わらない」よりも

「3だけ伝えようとトライして、2はわかってもらえた」のほうがマシです。

あなたがフォーカスすべきは、「3は0より大きい」と割り切って、10のうち3だけを抜き出して説明する、場合によっては1や0.5だけ説明する、という技術を磨くことなのです。

「話を聞かない」方々からの褒め言葉は「分かりやすい!」です。そう言ってもらえる努力をしましょう。ここまで読んで理解してくださったあなたなら、決して難しいことではないはずです。

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話を聞かない人には奇妙な共通点があります。それは、その方々を褒めたとき、

「ありがとうございます!」
「草龍さんにそう言ってもらうと嬉しい!」

などとは決して言わず、

「いえいえ、そんなことありません」とこちらの言葉を否定するという特徴です。

そう返されると「こちらの評価を速攻で否定するなんて」と悲しくなったりしますが、相手はただ、褒めたあなたの話を聞くことなく、

「褒められ始めたらすぐ謙虚なフリをする」とオートマチックにレスポンスしておられるだけです。あなたを否定しているわけではないので、気分を害する必要はありません。

単に「話を聞かない人なんだな、この人にものを頼むときは、きっとしくじるからこちらも気をつけないといけないな」と思えばよいだけのことです。

なお、話を最後まで聞かない方は、別にサボっているわけではない(繰り返すが「足の速さ」「声の大きさ」と同じ)ので、訓練してもあまり変わりません。

「人の話を最後まで聞きなさいよ!」などとクレームするのも、あなたがハラスメントリスクを背負うだけなので、やめたほうがよいです。

ということで、経理や経営企画などのチームビルディングがミッションの方々の参考にしていただけると幸甚です。


TAC USCPA講座/草野龍太郎講師
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