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#432 上手い英語にこだわるよりも
前回(#431)で、「プロは何があっても仕事で75点取る。アマチュアは気分が乗って、運に恵まれた時に90点取ることがある」とお話ししました。
むかし、阿佐田哲也さんが、
「十回戦で勝負すると、素人は六勝四敗を狙う。玄人は、極端に言えば、一勝九敗でもいいからトータルで勝つように張る」と仰いました。
これ一見、草龍の意見と逆に見えますが、実は同じことです。
プロは、ボロボロになって9敗しても、1勝することで、トータルで「75点」に帳尻を合わせないといけないわけです。
ということで.....今日は、ビジネスのプロにとっての「外国語」の話をしましょう。英語を例にとります。
最初に結論をいいますと、ビジネスプロの英語は、上手いか下手かよりも、話の中身が重要です。おしまい(笑)。
外国語としての英語を使ってプロとして仕事をしている人で、「上手い英語」にこだわっている人にお会いしたことがありません。我々は、話の中身にしかこだわっていないからです。
今日も明日も明後日も、何があっても最低「75点」は取らないといけない。綺麗な箱に収められた石ころと、紙にくるんだダイヤモンド。
どちらが相手に採用され、どちらが「Weaker(74点以下)」と評価されやすいか?
「その英語、ネイティブはバカにしています」
いや、バカにされてるのは、そうじゃない。
・何も言いたいことがない人
・そもそもビジネス(もうけ話)を作り出せない人
・「私はただお使いで来ただけで、本社に持ち帰って稟議をあげて、そのあと偉い人が会議を50回くらいやらないと、お返事できません.....」という人。
これらの方々は、どんな流麗な英語を操れたところで、笑いものです。
我々プロのビジネスに必要なのは、2つ。
「中身があること」
「それが通じること」
上手い英語は要りません。中身のある話を伝えればいいのです。そしてこれは、BECのエッセイでもまったく一緒です!(この話は教室でいたしましょう)
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以下はご参考までに。
本当に綺麗な箱が必要な、超超超トップレベルというのは、こんな感じです。
■ハーバード卒で国際機関のトップも務めた方なのに、ご自身のスピーチ原稿は専門家さんに翻訳をお願いし、交渉の席でも特Aクラスの通訳士さんを雇っていました。
■もと首相の宮澤喜一さんは、英語話者なのにあえて通訳をしてもらって、そこで時間をつくり、次の手をいろいろ考えていたと聞きました。
■英語をかなり自由に扱うビジネスパーソンが、通訳さんを脇において、
「万が一、私の能力だと何億も損する可能性があるる、と察したら、その時は必ず割り込んで訂正してください」
このくらいのレベルでないなら、大事なのは手段(英語)でなく目的(内容)だということです。ご参考までに。
TAC USCPA講座/草野龍太郎講師