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#431 プロのオペレーション・アマの一発芸
変異種。地震。くれぐれも備えを早めに。
読者の皆さんなら、世の中が買い出しに殺到して密になる前に、しっかり動いておられると思いますが、念のため。
準備は大切です。災害への備えだけでなく、プロとしてのお仕事への備えも、日々怠るわけにいかない。
資格試験に合格してからが、本当の勉強の日々の始まりです。
だからこそ、資格試験は「ほぼ自動オペレーション」で受かってしまわないといけないのです。このことは先週書きました。
ところが、プロとしての日々の準備は、試験勉強と似ているところがあります。それは、
「100点を取るための準備」ではなくて
「ひどい悪条件下でも、75点の合格点は取れるようにする」ことなんですね。
プロは、顧客からのお仕事のタイミングを選ぶことができないことが多いのです。
そして、絶対失敗できない状態で一定のクオリティを担保できないといけません。
つまり、プロにとっては、お仕事は「ほぼ自動オペレーション」になっていなくてはならないのです。
これは試験会場で考えているようならその時点で時間切れ一直線、というのと似ています。
ここが、趣味を極めた「プロみたいなアマチュア」との違いです。
アマチュアの目指すものは、試験本番でとにかく落ちないようにすることではなく、時間がたっぷりある自宅学習で難問に取り組むようなもの。
だから、アマチュアが「一発芸」でプロに勝つことは、決して珍しくありません。
スマホで撮った奇跡の一枚とか、ドラコンやホールインワンとか。
プロは、まず「75点」を確保することにフォーカスします。
その上で、もしも運良く状況に恵まれクライアントの理解も得られたら、初めて「75点オペレーションを越えた創意工夫」を試みることが許されます。
もしも、そのチャレンジ成功すれば、75点が98点になる。アマチュアの一発芸をはるかに上回って、素人目にも「さすがプロ」ということになる。
そうすると「売れる」「検索される」一流のプロへとステージアップしていけるわけです。
しかし、そんな冒険ができるのは、あくまでも「どんなことがあっても75点は取れるように日ごろから準備してある」からこそなのです。
言い換えますと、プロとは、75点の準備が「趣味」のようになっているということですね。
準備のために「努力」「苦労」「頑張り」を要しているようでは、それを長く続けることは難しい。メンタルもカラダもボロボロになります。
このことについて、本田静六さんという大投資家が、こんなことを仰っています。
「私の体験によれば、人生の最大幸福は、『職業の道楽化』にある。
職業の道楽化とは、職業の芸術化、趣味化、遊戯化、スポーツ化もしくは享楽化であるが、私はこれを手っ取り早く『道楽化』と称する」
アマチュアが趣味を極めて「まるでプロのように」なっても、決してプロにはなりません。
アマチュアは所詮アマチュア、75点取れないときに「状況が悪かった」と他責の言い訳をする権利がある人たちです。
逆に、プロが日々の準備を「まるでアマチュアの『道楽』のように」できるようになれば、これは長持ちします。
そうなって久しい方々を、ホンモノと呼びます。ホンモノは、決して他責しません。
だって、仕事で75点すら取れないのは、全部自分のせいだと考える人種ですからね。
TAC USCPA講座/草野龍太郎 講師