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#430 受験はオペレーション・人生はプロジェクト
USCPA資格試験のトレーニング(勉強とは言いません)は、試験本番を「ほぼ自動オペレーション」にすること、を目指します。
試験本番で一番良くないのは「考える」こと。解答要求に対して、殆ど反射的に解答作業を行うようになっていることが望まれます。そのくらいの膨大な出題量だということです。
ですから、「時間をかけて考える」のは、トレーニングの初期に済ませておくべき。講義のインプット期に「考え溜め」をしておく。
アウトプット期には「ほぼ自動で解答作業をする」という訓練を心がけてください。
多くの受験生は、これが逆なんですよね。インプット期に考えず、アウトプット期や試験本番で考える。
「本番では、時間配分に失敗しました」と語る方、その反省の仕方では、また繰り返しますよ。
本番の場で初めて、さあ時間配分するぞ!というのがそもそも間違いです。
トレーニングの段階から、試験本番を「考えないオペレーション」にすることを目指していないと、ぶっつけ本番はまず無理です。
言い換えますと、、、アウトプット期には練習問題を「解けるようになる」のがダメなんです。「速く(何十秒以内で)解けるようになる」のが正しいトレーニング。
それに徹することにより、「どうしても速く解けない問題」を一瞬で見極める目、これを鍛える。その目利きができれば、本番に臨んで「時間配分」が勝手にできるのです。
時間かかる問題を躊躇なく後回しにしたり捨てたりできるからね。
しばしば反論をいただきます。こんなのは勉強とは言えないと。はい、その通りです。冒頭にも(勉強ではなく)トレーニングだ、と申しております。
十分な時間をかければ解答できるのに.....というのは、言わば、皆さんレベルなら「当たり前」ではないでしょうか?
しかしこの先、「解答できるまで十分に時間を与えてもらえる」ということは、一体何回あるかしらね? 一回もないかもしれません。
ここで誤解しないでください。確かにプロになったら、大抵「秒」で「正解」をクライアントにお示しできなくてはなりませんが、
この試験が超高速で解答することを要求している理由は、その「素質」を見ているわけではない。そんなに底が浅い検定ではないです。
それよりも、プロジェクトマネジメント能力が問われているんだと草龍は思っています。
つまりですね、「本番でほぼ自動オペレーション」とわかりきっている試験を受けるのだから、それに対応できるようになることに徹して1〜2年トレーニングする。
そのプロジェクトを、自らマネジメントして、最後までやり切ることができるかどうか。
このプロジェクトのスコープ外であることを、間違って目指さない、ということができるか。貴重なリソース(とくに時間)を、スコープ外の目的に浪費しない管理が、できるか。
ですから、もしもこの試験が、
「試験本番で常に未知の課題を出題するので、それに対し長考して、あなたのクリエーティブ能力を示しなさい」
というルールなのであれば、上記とはまったく異なる準備プロジェクトをマネジメントすることになる。
でも、この試験はそうではない。
ある決まった範囲について膨大に質問するからそれをほぼ自動オペレーションで解答できるようになってください、と
「言われたら、そうなるためのプロジェクトを完遂できますか?」
というのがお題です。
(いわば「メタなテスト」とでもいいましょうかね)
人生は、こんなプロジェクトの連続です。
「今できないことを、できるようになることが必要だ!となったら、できるようになるための準備プロジェクトを、やり遂げられますか?」
受験トレーニングなんて、ほんとの勉強じゃない!とお嘆きのあなた。あなたが思っているよりずっと猛烈に勉強しなくてはならない「プロジェクト」が、あなたを待っていますよ。
ただし、それは「オペレーション試験」を突破しているから。資格持っているから呼んでもらえた、という「プロジェクト」は、とても多いんです。
TAC USCPA講座/草野龍太郎 講師