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#424 リスクとリターン(その2)失敗を認めて逆転する文化
今日も深ーい呼吸、やっていきましょう!草龍です。
試験本番でいきなり深呼吸できる人はいません。仮にできたとしても、「よそ行き」の呼吸では、すぐに息切れします。
いまから、日ごろから、深く吐いて→深く吸う、これを練習しておきましょう。
さて「リスクとリターン」についての確認の後半です。BECの超コア論点ですからね。
??リスクは「管理する」もので、「撲滅する」ものではない
「リスクゼロ」とは、「将来の不確実性がゼロ」ということです。しかし、どんなことをしても、リスクはゼロにはなりません。
ですから「リスクがゼロになるまでコストをかけ続ける」という経営判断は、間違っているということになります。
適切なコストの範囲内でリスクをできるだけ下げたら、あとは「リスクは残存している」ことを認め、それを「管理する」というフェイズに切り替えないといけません。
現実には、とても難しいことです。必ず「リスクが残存しているとは、何事だ!」と批判を受けますからね。
この辺、USと日本も考え方が違うようにも思います。我々と異なり、USの方々は「逆境の克服」「危機からの逆転」をよしとする気持ちが強い。
我々のような「失敗自体が、けっして許されない→失敗をゼロにせよ」では、ないんですね。
「失敗はしないに越したことはないが(=リスクは低減するに越したことはないが)、ゼロにはできない。
したがって、大切なのは失敗しないことではなく、失敗からいかに立ち直っていくかである」というもの。
華々しく逆転成功すれば、「でもあの人は一度失敗した人だ」と言われなくなる。「失敗を克服した人だ」とリスペクトされる。
このため、だいたい最初は不意打ちを食らうけど、後になればなるほど、しぶとさを発揮するのがUS、という感じです。
日本では、「先制攻撃で先行し、逃げ切りをはかる」というやり方が賢明だとされています。これがUSではあまりクールだとは思われないようです。
先ず先制点を入れて、そのまま時間切れを狙って、逃げ切れればいいのだが、人間てのは不思議なもので「逃げ切ろう」と思うとどんどん形勢が悪くなり、
威勢よく始まったプロジェクトもしおれていくんですよね.....。
ということで、日本でのビジネスは別として、我々のUSの試験では「リスクは管理するもので、撲滅できるものではない」が正解。
??管理の方針は4つ
これは超有名。「回避」「転嫁」「軽減」「受容」を、リスクごとに選択します。
「ぜんぶ受け止めてみせる!」とか、そういう熱い気持ちのアピールは要らないです。リスクごとに判定していきます。
判定のフレームワークは「確率」と「インパクト」の掛け算です。
「頻繁に起きる」x「起きたら大損害を被る」というリスクには、最大限の対策を取るしかありません。例えば、これを「転嫁」するにはそうとうな保険料を支払うこともやむなし。
「滅多に起きない」x「起きても大したことにはならない」というリスクは、「受容」でいいという判断が正解です。
ここでも日本的発想では「リスクを受容するとは、何事だ!」とバツをつけたくなりますから、USの試験では気をつけましょう。
日本でのビジネスにおいては、日本の風土に寄り添う必要があります。「リスクはゼロをめざすべきで、管理しようなどという傲慢さには、バチがあたる」といい続けなければなりません。
間違っても、「起きて困ることも、いつかは起きるので、起きたときに被害を最小限にできるよう対策する」などと合理的なことを言ってはいけない。
マジョリティの心理を逆撫でしては、できるものもできなくなります。「リスクを管理し、被害を最小限にする」と言わないと、リーダーとしてマジョリティに支持されない文化もある。
そこでは「失敗をみとめて復活する」のが「成功」とされるから。
「起きて困ることは、起きないということにします」と言わないと収まらない文化もある。「いちども失敗しないことが成功」とされるから。
エンタープライズリスクマネジメント(ERM)は、郷に入ってはなんとやら、ということです。
TAC USCPA講座/草野龍太郎 講師