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◆自由とは選択肢があること
4年前、草龍はたまたまNYにいました。オバマ大統領の最後の一週間。
回った商談先では、お約束のように必ずこういう会話になった。
「クサノ、東京へ帰るフライトはいつだい?」
「トランプさんの大統領就任式の朝の便だよ」
「オウ、いいなあ〜!俺たちも連れてってくれ〜」
(予想に反して)(あれよあれよと言う間に)大統領選に勝利したトランプさんは、これまでで「最も高いIQ」を持った内閣を作ると強調していました。
だがその後、「史上最高IQ」の高官たちの多くはトランプさんに解任されていき、もしくは、自発的に辞任していきました。
4年前のスタート時、国務長官にはレックス・ティラーソンさんが指名された。エクソンモービル社の前CEOです。Wikipediaによると全米ボーイスカウト連盟の長でもあるそう。
そのテイラーソンさんも、14ヶ月で国務長官を解任されます。その後テイラーソンさんは政権に対する意見を控えておられたようですが、エネルギー問題の論客・岩瀬昇さんが「Foreign Policy」で最近のインタビュー記事を発見してくださった。連邦議会侵入事件の直前のインタビューです。
「His understanding of global events, his understanding of global history, his understanding of U.S. history was really limited.
It’s really hard to have a conversation with someone who doesn’t even understand the concept for why we’re talking about this.」
前半については、いろんな識者から散々言われてきたことですが、テイラーソンさんの言葉の後半は、実に強烈です。
トランプさん自身の話は置いとくが、このテイラーソンさんのトランプさん評に出てくるような「経営者」は、読者のみなさんの知る範囲にも居られないだろうか。
「会社を正しく経営すること、従業員のモチベーションを高めること、顧客の喜びを持続させること。
そういうこと全てについて、当社の経営者の understandings は limited である...
なんでそれらが重要なのか、そもそもなんでその話を真剣にしなきゃいけないのか、そんなことすらunderstand していない」
テイラーソンさんのトランプさん評に模して言えば、こんな経営者。
こういう経営者に仕えるのは、いや、会話をしなければいけないだけでも、確かに it’s really hard ですね。
トランプさんは、側近からジャーナリストまで、いろんな方から告発され、その「真の姿」が周知されました。
経理や経営企画の仕事をしていると、経営者の真の姿に接してしまう機会が増えます。
しかし一般の従業員さんたちには、そういう「真の姿」は知られていない。それを暴いてくれる第三者もいない。同僚さんも、なんならご家族も、あなたがどんな酷い目にあっているかを理解してくれないかもしれない。
こんなとき、「自発的な行動」をとれると、良いですよね。要するに「辞める自由」を確保しておくということです。
これまでの日本の会社従業員には、「辞める自由」があまりなかった。会社を辞めた人材を活かす仕組みが、社会全体として、足りなかった。
しかし、状況は激変しています。あなたの高い能力や、すばらしい人格を求めている「市場」ができつつあります。都心や大都会の一部の現象ではありますが。
「自由」とは、選択肢があることです。そして、選択肢とは、他人から与えてもらえるものではなく、自ら獲得してゆくもの。こればっかりは、自分でやるしかないです。
みなさんがいま、国際資格に挑戦しているのも、みなさんご自身の「自由」のための、選択肢を増やすための闘いです!そのことを忘れないようにして、充実した2021年を生き抜きましょう。
TAC USCPA講座/草野龍太郎講師