資格の学校TAC > TACメールマガジン > 米国公認会計士バックナンバー
マスクをしてると声が聞きにくくなります。そこで人と話す時はマスクをアゴに下ろします.....という方々、ほんとうにマスクの意味がゼロです。唾を飛ばすのやめてください。
マスクをしている時こそ、英語喉でのしゃべりを身につけるチャンスです。腹の筋肉に力を入れ、顔の筋肉も動かして、喉で話します。そうすれば、マスク外さなくても相手に聞こえます。
先週、草龍の特徴のひとつ「英語喉」の話をしました。特徴ですから長所や武器にもなります。そして欠点にもなります。
「英語喉」の欠点は、なんといっても「圧が強くなる」ということですね。マスクを外して英語喉だと、とても強い発声になる。
日本語は、英語や中国語など世界の言語と異なる点が多い独特の言語だそうです。
日本語は「自分の考えを主張するためのツール」ではない。そもそも日本では「自分の考えを主張する」という行為自体が、ちょっと前まではレアなこととされてきました。
それぞれの考えを主張して、相手と自分の考えが違うことがわかってしまうと、「空気」が気まずくなる。それを避けるために、自分の考えをやたらと主張するリスクを避ける。それが「大人」とされてきた。
だから「大人」は「大人しい(おとなしい)」のがデフォルトなんですよね。その反対の「騒がしい」のは、大人としてよくないとされる。
ある国の言葉を話すということは、単に「その言語のボキャブラリーを、その言語文法に従って、その言語らしく発声する」というだけのこでは足りません。
その言語を使う方々が、何のために言葉というツールを使い、何のためには使わないのか。まずそれを知ることが大事。
で、最初にマスターすべきなのは、日本語は自己主張のためには使わない言葉であるということ。日本では自己主張するには言葉でなく態度で示し、それを分かってもらう、という手段をとります。これこそが「空気」なのです。
日本では「空気」が王様。
ちなみに(今日は触れませんが)「清貧信仰」「不謹慎忌避」とあわせた3人が、日本を支配している(笑)。
「空気」の国では、言葉で自己主張しないという他にも、言語の使い方の特徴があります。
・「ありがとう」と言う時、何に対して「ありがとう」なのかは明確にしない。Thank you FOR WHAT はあくまでも「空気」で伝え合うもので、言葉で明らかにしてはいけない。
・他人に褒められたら、即座に「そんなことはない」と否定すること。不思議なことだが、それにより相手の見る目を否定したことになる、というリスクはない。それどころか、褒められたときにお礼を言ったり「励みになります!」などと応じたりすると、「勘違い野郎」「上から目線かよ」と叱られる。さっき褒めてくれたのに...。
・日本以外ではたいてい男女問わず、他人にナメられないよう野太い低音を出そうとする。がしかし、日本では逆効果。「威圧的」と敵視されかねない。ここでは「ナメられない」よりも「かわいがられる」戦略が一般的。
英語の方々は、腹の奥から喉を鳴らして動物的に発声するわけですよ。そのノリで日本語を使おうとするとうまくいかないってことです。
ということで、英語喉は「物理的に音が大きくてうるさい」だけでなく、
「空気でなく言葉で自己主張するなんて、大人げがない」
「上から目線で、かわいがられようとしないなんて、可愛げがない」
などと相手のご機嫌を損ねてたいへんなロスになります。
日本で日本語を話すということは、口の前の方で高い音を作り、それを「ホロホロこぼす」ように発声することに他なりません。
それは、日本を支配する「空気」(そして「清貧」「不謹慎」)をリスペクトするということです。ムラに入りてはムラの支配者を尊重しないと、ムラビトの不快や怒りを無駄にかきたてるだけなのです。
以上のようなお話を、日本でビジネスしようとする英語ユーザー・中国語ユーザーのみなさんには、機会を見つけてはお伝えしています。もちろん、もちまえのの英語喉で、動物的にバリバリと発声しながらです!
USCPA講座 草野龍太郎講師