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草龍は声がよく通ります。デシベルも大きいんでしょうが、それよりとにかく低くて、とてもよく通ります。
これは草龍が腹と喉で発声するからです。意識的にではなく、自然にそうなった。外国に住んだこともないんだけど、なぜか「英語喉」。
日本語は、というか日本では、口先で音をつくり、その音をポワッとこぼすように話します。必然的に声量は小さく、音は高い。
草龍の発声法は、草龍の特徴である。英語国などでは特徴でもなんでもなく「ふつうの発声」だが、日本では「特徴」。
そして特徴は、ある場面では「特長」「長所」になる。しかし別のシーンでは「短所」「欠点」になる。要するに草龍は「うるさい」と言われることも多いということです。
ある時など、商談相手から「草龍さんの声が、眉間(みけん)に突き刺さる」とイヤミを言われたこともあります。決して声で攻めるつもりはなかったのだが、商談は草龍の圧勝に終わった。
「特徴」は、長所であり短所でもある。したがって、短所を矯正する努力は、長所を封じる行為でもある。
我々は、欠点や短所を改善することで「少なくともふつう」を目指そうとする。これ、子供のころからの刷り込みが影響していると思います。
「ふつうで」
「人さまに迷惑をかけず」
「人さまからも迷惑をかけられない」
というローリスク人生こそが、これまで正しいとされてきましたからね。
昔は、というかちょっと前までは、人間が機械のかわりをしていた(機械がまだなかったからね)。だから、機械のように標準化された「ふつう」の集まりこそが「よい組織」だった。
そこでは「他に迷惑をかけない」ことが至上命題となるのはしごく当然です。
しかし、いまの世界には、機械(プログラム)があふれかえっている。
敢えて言います。この先の将来、仮に「ふつう」にまでなれたところで、それだけでは決して食えない!今のままのローリスク・ノーリターン戦略では、ますます国をあげて貧困になっていくだけです。
(そもそも、日本がまだ『リッチな国』と思い込んでいる方は、まずそこから考えを改めてくださいね)
だから、短所を矯正しようとして長所を封印するのは、もうやめましょう。欠点はそのままでも長所を活かせる場を探すほうが、「期待値(成果x確率)」はぐっと高くなります。
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欠点をあげつらわれずに長所を活かせる場とは、言い換えると、「あなたを心から褒めることができる人」がたくさん居るところである。
考えて見てください。これから機械(プログラム)が満ち満ちる世の中で、わざわざ人が集団(チーム)で働く理由はなんでしょうか?
それはファイナンス投資のポートフォリオと同じ。欠点や失敗を補いあうことで、それぞれの得意技を思い切りよく発揮できるようにする。そのための集団化なのだ。
だから...「欠点を見せられない」「失敗して迷惑をかけられない」「弱みを見せ合えない」という組織であるなら、今どき、そもそも組織にする意味がないわけです。
ある研究では、メンバーが「弱みを見せられない」という組織では、メンバーの時間の30〜50%が「自分の弱みを隠蔽する」ことに費やされるとすら言われています。
ここで「従業員」とは、エグゼクティブクラスも含まれます。自分の決断能力を超えた判断を迫られたとき、「僕には決断できない」と弱みを見せられますか?「これだけの情報で私に決断しろというのかね!やり直し!」と職権で誤魔化したりしていないでしょうか?
あなたは、どうですか??
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組織リーダーの心構えとして昔から多くの偉人が引用する教えに、
「やってみせ→言って聞かせて→させて見せ→褒めてやらねば、決して部下は動きません」
というのがある。
これ、とても大切だ。
「褒めて、責任をとる」というリーダーシップが徹底されていれば、フォロワーは安心してパフォーマンスを発揮できるようになる。つまり、欠点や弱みの隠蔽にではなく、強みの発揮にエネルギーを使うようになる。
これからの時代、あなたのチームが優秀なタレントに所属してもらえるようになるためには、この「安心感」を提供できるようにしたいですね。お金などの待遇よりも「安心感」を優先するプロが増えていくかもしれない。
言い換えますと、これからのリーダーシップは、「管理」ではないということです。「ふつうの機械」を集めて「欠点を露呈させないようにさせる」時代は、リーダーとは「管理」だった。
だから、BECの「Managerial Accounting」ね、これを「管理会計」と訳した先輩も、「ふつうの機械」「弱みを見せるな」の時代にはフィットしたんだろうけどね。
できれば「経営会計」と訳してほしかったなぁ。今から、そう言い換えられないもんでしょうかねえ、みなさん。