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2020/11/25
成功し続ける方法/412回 <「大丈夫です」な人は、ほんとに弱い>
新型コロナ抗体検査を受けましたが、結果はシロでした。ずっと無症状なので当然といえば当然ですが、「抗体ができていてくれないかな〜」とちょっと期待していたのでがっかり。

もっともこのウイルスは、抗体があっても感染するらしいですけどね。とにかくマスク・手洗い・密避ける、です。

さてさて、話はかわります。

いわゆる優秀な人が集まる外資系企業数社にお勤めのみなさんの話を聞きました。面白かった話のひとつをご紹介しますね。

上司さんが部下さんたちに最もたくさん言うのは

「What can I do to help you?」

なんだそうです。このことはみなさん、異口同音におっしゃっていました。

「あぁ君、草龍君だっけ?君さ、今日どんなバリュー出したの?え?」

みたいな上長より、

「なんか困ってることあるー?」
「僕に手伝えることあるかなー?」

って言ってくれるリーダーのほうが、よっぽどいいと思いませんか。え、あなたはそうでもない?

とくに、失敗したり、逆境にさらされたり、ストレスフルな出来事が起きたりして、落ち込んでいる部下さんには、この一言がとっても効くんじゃないかな。え、あなたは違う?

「What can I do to help you?」と声掛けされても、日本人は「えーと、大丈夫です!」と答えるのが正解だと思い込んでるからなあ。

失敗からの逆境に適応していけるチカラのことを「レジリエンス」と言いますよね。レジリエンスが高い人には、共通した特徴があるそうですよ。

例えば、、、

@楽観的である

A確固とした道徳的基盤がある

Bユーモアを忘れない

C他人のサポートを受けいれられる

D利他主義で、使命感が強い

要するに(と一括りにしてしまうのも何ですが)、レジリエンスの基本は「自分ファーストではない」ってことなんでしょう。

中でも、Cはとても大事だと思います。え?これは「自分ファースト」の逆だろうって?まあ聞いてください。

日本では子供の時から「人様に迷惑だけは掛けてはならない」と叩き込まれます。そのため、自分が困っても自分だけで抱えようとする。

(反対に、困っている人にも冷たい。「俺に迷惑かけるんじゃねえよ、この足手まといが」的に)。

迷惑を掛ける自分が(他人も)許せない。これは一見「利他行動」のように見えますが、真逆です。自分のパフォーマンスが落ちる事態になっても自分の体裁をとりつくろうことを優先するというのは、これぞ「自分ファースト」の骨頂なのです。

自分ファーストだからこそ、「お互い迷惑掛け合うわけだからさ、助け合っていこうよ」とは決して考えない。サバイバルするために迷惑者を切り捨てていく心理は、日本の地形に起因した「小規模農耕チーム文化」のDNAであり、これはそう簡単には変わらない。

このため、C「ヘルプを受け入れる」ことができないために、レジリエンスを発揮できず潰れてしまう方が後を絶ちません。残念なことだし、その人が回復どころか潰れてしまって、周りはむしろ大迷惑です。

(え?あいつはなんで潰れる前にヘルプを求めなかったんだろうだって??それはあなたたちが「俺に迷惑かけるなよ(俺もお前に迷惑かけない)」ってオーラを出しまくっていたからでしょうが)

「What can I do to help you?」と声がけされても、日本人は「えーと、大丈夫です!」と答える。というか、ヘルプを拒否する。ここでリーダーのヘルプに頼って「迷惑かける」ようなことをしてら減点くらってしまう、と考える。

実際には、まともなリーダーから見れば、この人は、、、

・明らかに行き詰まっているのに、自分のポリシーに固執するあまり、解決を遅らせている

・つまり解決のためにあらゆる手を尽くそう、手に入るリソースはなんでも使い倒そうという合理性に欠けている

・そもそも、リーダーがどんなリソースを背後に持っているのかを知りもしないのに、自分の限られた経験だけでリーダーのケイパビリティを判断しているようだ

ということになり、素直にヘルプを求めてこない人こそ、減点になりかねない。

というか、ここで「俺に迷惑をかけないようにしているのか、かわいいやつよのう、ヨシヨシ」と高く評価するような人がリーダーをやってる会社は、.....まあそれなりの会社でしょう。

さて、レジリエンスに話を戻します。

レジリエンスが強い人は、幸福感に関わるオキシトシンやセロトニンなどの分泌が多いこともわかっているそうです。これ、まさに「ステイ上機嫌」です!

レジリエンスが強いと幸福なのか、幸福だとレジリエンスが強くなりやすいのか。ニワトリと卵ですがとにかく、上機嫌でいることを心がけて損はないってことです。

失敗・逆境・ストレスフルネスを、決して克服できない問題と思い込まない。自分ひとりで背負い込まないといけないとも考えない(それで潰れるほうが、周りはよほど迷惑)。そしてこの試練は自己発見のための機会、自己成長のチャンスだと信じる。

こういう発想は「自分ファースト」に徹しているとなかなかできないもの。つまらない自分の体裁を守ろうとするからだね。

ここは逆に「この谷底から再び上がったら、その先はもう自分ファーストをやめて『利他ファースト』にしようかな」と考え直せばよい。

カッコ悪くてもいいから人に助けてもらって立ち直ろう、そして、その借りは立ち直ったら倍返ししよう。そういう「目的」ができます。

自分ファーストの人は、実はこういった「目的」がない人が多いんだよね。とにかく自分が不快になるのが嫌だと逃げ回っているだけで、じゃあ快適になったらそれでどうするの?と言われても「自分が快適ならそれでいいじゃないですか」となる。

そのように辛さを回避することにフォーカスして「目的」をもつことを拒否していると、かえって心はもっと辛さにやられやすく(バルネラブルに)なっていくのです。逆説的ですよね〜。
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