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2020/11/18
成功し続ける方法/411回 <賢さを褒められるようだと危ない>
「専門家って、いったいなんなの?」
この半年間ほど、こう感じたことはなかったのではないでしょうか。

物理学者のボーアは、「専門家とは、ある範囲内で生じうるすべての間違いを経験した人」だと言っています。「すべて」というのはハードルが高いように思えますが、「範囲」をとても狭く定義さえすれば、「失敗をし尽くす」ことも可能かもしれませんね。

そのいちばん顕著な例が、他でもないUSCPA試験です!Beckerの問題集の全範囲を失敗しつくして、そしてその失敗を本番で繰り返さなければ合格するわけで、その状態を「USCPA受験の専門家」と呼んでもいいわけです。

ともあれ、「人は何度も何度も間違いをおかすことで、初めて正しいやり方を学ぶことができる」という考えに、草龍は賛成です。最初から正しいやり方「だけ」を教育し、失敗して恥をかかないようにしてあげる、、、なんていうやり方で甘やかされていたら、いつまで経ってもどんな狭い範囲においても「専門家」になることはできないと思います。

もちろん、ただやみくもに失敗さえすりゃいいと言うもんでもない。重要なのは、失敗の次にどうするか、です。自分のプライドやメンタルを守るために、失敗を無視したり、隠蔽したりすれば、それは失敗しただけ損です。

その逆に、失敗を失敗と認識して、どこで失敗したか、なぜ失敗したか、どうすれば防げたか、を学ぼうとすれば、それは「その範囲の専門家への道」を進んでいることになるわけです。

そうです。いいかえると、失敗を糧(かて)にできるか、それともできないかは、「失敗を糧にしたいと思っているかどうか」によって決まるのです。 

(↑ここ、大事ですから、いまいちわかんなかった方は、もう一度よーく読んで理解してくださいね!)

モーザー氏らは、人間の姿勢(マインドセット)を2種類に分けています。ひとつは、「自分の知能レベルはこんなもんだ、変えることなんかできないんだ」という固定的セット。もうひとつは、「自分の能力は伸ばすことができる」という成長志向のセットです。

固定的セットの人ほど、失敗を「ぶざま」と感じ、なかったことにしようとする。一方、成長志向セットをもつ人は、失敗を「必要なステップだ」ととらえる。

成長志向セットの人は、問題集を解かせて間違いをおかしたあと、二度目の正答率は急上昇する。間違いをおかすと注意力が高まるのです。

これ、過去3回のコラムで繰り返し申し上げてきたとおりのお話。本番で失敗しないためには、練習段階での軽い失敗を本番での大失敗であるように想像すること。そうしないと、脳が本気出して覚えようとしてくれないの。

失敗をおかしたときのあの不愉快な反応、それを経験しない限り、われわれの脳が全力を出してくれることはない。そうなると、いつまでも同じ間違いをおかし続け、さらに自らを成長させる機会を逃し続けるわけです。

このように「失敗を糧にしたいと思う」ためには、さらにコツがいる。それは「失敗を糧にしようなんて思う自分はやっぱり偉いわ」と自分を褒め続けることなんですよ。

これについては、ドゥエック氏のテストが有名です。人はそもそも褒められるとやる気を出すものだが、「賢さをほめられた人」は危ない。課題の難度が上がって失敗が増えると、かえって挫折しやすくなる。

一方で、賢さでなく「失敗から学ぼうとする努力をほめられた人」たちは、.....もうわかりますよね。

さらに言うと、「賢さを褒められた人」は、自分より出来が悪かった人を批判することでメンタルを防御するようになる。これが高じると「他責」になっていくわけね。「俺が失敗したんじゃない、周りが悪いんだ」。

これに対し、「失敗から学ぶ努力をほめられた人」は、自分より成績のよかった人がどう勉強しているのかを見たがる確率が高いといいます。

SNSで他人が幸せそうに活躍しているのを見るのが辛い、という方が増えています。まあ確かにどこを見てもウザい自分LOVE投稿だらけなのは確か。ただ、そういう気分になっている時は、ひょっとしたらあなたらしくもなく「固定的マインドセット」に陥っているシグナルなのかもしれないよ。

そんな時こそ、《キープ客観・ステイ上機嫌》を思い出していただきたい。《客観的に》かんがえれば、いまの能力がこれ以上進化しないなんてことあるわけないじゃない?だったら失敗した時こそ《上機嫌に》なってしかるべき、なんじゃないでしょうか。
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