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2020/11/04
成功し続ける方法/409回 <失敗して恥をかくくらいなら成功しなくていい?>
先週、「失敗してから、そのあとにする勉強」こそが効率的だと書きました。

 ヒトの脳は、「まだ失敗していないこと」を勉強しようとしても、今ひとつうまく身につかない。

 というのも、われわれの「アタマ」は「すでにした失敗の再発防止」を最優先アジェンダにしているから。つまり「まだ失敗していないことの予防」をするなんて余裕が、なかなかないのね。

 会社でも、「このままだと当社は、将来エライことになる!」と警告したところで、誰も本気で動かないでしょう。あれです。

 試験勉強が「身につかない」ままだととても困る。そこで、自分で自分のアタマを騙す。

「すでに失敗した!→再発防止しなくちゃ!」というモードにする。失敗をシミュレーション(想像)するわけです。

 この「失敗シミュレーション」、そんなに特別なことじゃない。みんなやってる。たとえば、子供が「失敗したら命の危険がある」「ほんとうに大怪我する」ものごとを回避することを、どうやって学ぶか?

 親などから「その失敗の恐ろしさ」を繰り返し聞かされ、失敗しかかると「こら!危ないって言ってるでしょ!!!」と叱られ、そしてネットやテレビそしてときにはリアルに「他人がその失敗をしてしまった結果」を見る。そしてときには、自分自身が危うく「その失敗」をしそこなう。

 こういうプロセスを経て「失敗を想像」できるようになると、歩いて道路を横切るときに「まず右を見て次に左を見てそしてもう一度右を見てから」渡るようになる。無意識にクルマや自転車が突っ込んで来る究極の失敗状況をシミュレーションするからこそ、キョロキョロできるようになるわけ。

 ところが、「失敗の想像力」を高める機会が少なかったひとは、右左を確認することもなく、ひたすらスマホを見つめながら横断開始したりする。あれほんとに危ないんだよね〜!自分の横断時に横からクルマが来るとは思いもよらないのだろうね。

 さいきん、失敗のシミュレーションが足りない人が増えている気がする。失敗の想像をすることがないままリアル失敗してしまう。

 そう感じるのは、受講生さんに「問題を解くのが嫌だ」という方が増えているから。「論点のインプットは好きだが、アウトプットを試されるのが大嫌いだ」とおっしゃる。、それも「解けなかった時に、恥をかかされた気分になるから」。ここ数年、そういう方がぐんと増えた。

 いいですか?トレーニングで失敗を重ねておけば、その分、本番での失敗が減るんだよ!ただし、打ちのめされるだけじゃやられ損だ。この問題に本番で出会っていたらいったいどーなってたんだ!?と想像して、それで「や、や、やられた〜」と脳に思わせること、それが大事なの!

 そうすると、脳の優先順位が繰り上がって「この問題・この論点を刻みつけよう、今度は失敗しないために」って気になるわけです!問題集で打たれるのは、脳を騙すための絶必プロセスなんだよ。屈辱を味わわせようってわけじゃないんだからね!!

 受験TIPSは以上ですが、社会一般でも同じ傾向がみられる。

 失敗すると「わたしは失敗していない。相手が100%悪い」と愁訴する方が増えている。「ちょっと、ありえなくな〜い!?ひどくな〜い!?」とひたすら他責する圧力が世の中にぐんぐん増している。

 どうも「失敗」を極度におそれる度合いが増している。「失敗したダサいやつだ」とまわりに思われたらもうおしまいだ、みたいな意識が小学生くらいから涵養(かんよう)されているようだ。

 失敗の痛手から自分のメンタルを防御するためには、他責は有効だしやむを得ない。しかし、だからといって何か起きるたびに他責だけですませてしまうと、次もまた同じ失敗をして、そしてまたまた他責する、、、と繰り返すことになりかねない。

 自分がおかした失敗をみとめられないのが高じて、失敗のシミュレーションすらも怖くてできなくなってしまう。「失敗」を恐れるあまり、「失敗を認めること」も恐れ、「失敗の想像」もできなくなり、その結果もっと失敗するようになってしまうということです。

 失敗の原因が100%自分のせいということはないが、100%他人や環境のせいということもない。「自分は1ミリも悪くない」と思い込むために自分に言い訳をするのは時間のムダ。

 ここは、自分の失敗を失敗と認めて、失敗の分析にエネルギーと時間をふり向け、とにかく似たような失敗を再発しないようにした方が、ずっと良い。

(その際《キープ客観&ステイ上機嫌》が大切になるわけです!)

 それができるメンタルがあれば、「失敗シミュレーション」も平気でできるようになる。つまり、不都合な将来の可能性にも備えよう、という気力が湧いてくるわけです。



(USCPA講座 草野 龍太郎 先生)
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