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2020/10/29
成功し続ける方法/408回 <「失敗してから」学ぶ>
失敗してから学ぶ

今週のタイトルは「失敗から学ぶ」ではなくて「失敗して、その後で、勉強するのがよい」という意味です。

ふつうの順は「失敗しないように、先に勉強しておく」。つまり、経験したことがないことを、まず先に紙上・机上などで勉強して、失敗を防ぐ。

新入社員研修はじめ、ほとんどの「訓練」はそうですよね。とりわけ「失敗したら死ぬ/大怪我を負う」ような場合は、念を入れて「先に」勉強をする。

こういう「失敗を知らない方々の机上の勉強」には大欠点があります。それは、勉強する方々が「失敗のインパクト」を想像できないと、その勉強?容がなかなか身につかない、ということ。

これ、資格試験の講座も同じ。初学者の方々にとっては「失敗(つまり不合格)しないための勉強」だもんね。

学んだことをしっかり身につけていただくためには、「失敗(不合格)のインパクトをどれだけリアルに想像できるか」がけっこう大事になってくるんですよ。

リアルに失敗を想像するというのは、「失敗の瞬間」の「ディテール」を、頭に描くこと。

なんとなく、じゃダメです。リアルに、くっきりと描く。

そのとき自分がどういう服装をしていて、どういうパソコンモニターの前に座っていて、その画面にどういう問題が現れてきて、そのとき残り時間が何分で、でもって、焦ってしまって「問題文の読みかたの鉄則」も忘れ、.....

というふうに「失敗する瞬間」のディテールを、リアルにシミュレーションするのです。

ただし、これをただ闇雲にやっても意味ない。ある論点を頭に叩き込みたい!というときに、ここぞとばかりこの失敗シミュレーションをやるの。

この論点についてどういう風に質問されたら、頭が真っ白になるほど手も足も出ないか?を想像する。試験本番で打ちひしがれる自分をイメージするのです。

奇抜な勉強法だと思いますか?

でもこれ、仕事ならどうです?クライアントや重役へのプレゼンの前夜とかに、チーム全員でやるよね。「先方から、こんなキツいツッコミされたら、どうしよう?」「ううう、それ、誰が何て答える!?」って感じで臨死体験をシミュレーションする、あれです。

失敗した経験(の想像)なしに受けた講義や座学は、驚くほど頭に何も残りません。それはあなただけじゃない、かなり「優秀な」ひとでも同じですから安心してください(あなたが「優秀な」人だったらゴメンね)。

というか、「優秀な」方というのは、情報の取捨選択がめちゃくちゃ速くて確実に処理できるから「優秀」なんです。自分が損するとか傷つくとか大怪我を負うとか、本当に「ヤバい」ことだけを見抜くから「優秀」。ヤバくないなら適当に流せるからこそ「優秀」なの。

そういう方々は、ひとたび失敗の経験をすれば、その再発を徹底防止する術を「勉強」して身につけます。しかしいちいちホントに失敗しているわけにはいかない
(繰り返すけど、「失敗したら命を取られるような物事」は失敗を試行するわけにいかない)。

そこで、「失敗をシミュレーションすることで、自分の真剣な理解力をたたき起こす」という作業をするわけです。これ、無意識にやっている方が多いと思うのだけれど、ぜひ顕在意識的に「ヤバみの想像」をする習慣をつけるとよい。

(なお草龍が講義で「これは74点論点よ〜」と申し上げて教室のみなさんにイヤな顔をされるのも、同じ理屈です)

試験本番でヘクる自分を想像して、そうはなりたくない!と真剣に話を聞くモードになる。あまり気分のよい話ではないが、これもトレーニングだからね。そして、どんなに不快でも、本番でほんとに失敗するよりはいいでしょう?

なお蛇足ながら、、、「優秀」な方々が集まっている職場では、仕事の(失敗の)経験があまりないフレッシュパーソンたちに研修などを延々と与えることには、草龍は疑問をもっている。上述のとおり、「優秀」な方々であればあるほど、「失敗の前の勉強」の効果はないからね。さっさと実戦に送り込んで、リアルに失敗してきてもらって、その先に初めて真剣に勉強していただくのが、本当は一番よい。

しかしこんにちの企業には、「まずリアルに失敗させる」なんてリスクを取ることは金輪際できない。

「優秀」な人たちが「企業」から離れていく傾向があるが、その原因のひとつはこれ(失敗させてくれないこと)だと思っている。蛇足でした、すみません。


(USCPA講座 草野 龍太郎 先生)
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