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草龍は、よくクライアントさんを叱ります。といってもTACの講師として受講生さんを叱るのではありません。
「コンサルタント」と呼ばれる仕事もしておりまして、コンサル先のお客さんをお叱り申し上げるのです。
お客さんは、ご自身の会社を良くしたい!という一心でいろいろ提案してきた。しかしまるで採用されなくて、それで落ち込んでおられる。
「いま、この施策を始めないとほんとうに手遅れになる」と経営陣に提案書を出しているのにとりあってくれない。そう嘆いておられる。
「そうですか、提案はしたんですね。で、何回しました?」と伺うと、たいてい一度か二度、多くても3回。
さらに伺う。「経営陣に提案するのと並行して、同僚や若手のみなさんに、『わたしは経営陣にこういう提案をしています』と話を広めて、賛同者を得ようとしてますか?」
してますよ、飲みに行った機会などに話をしてますが、ほとんど聞いてもらえないんですとおっしゃる。
草龍さんも気付いてますよね、うちの経営陣がバカなだけでなく、同僚たちのレベルも低いんです。と同じ会社のひとたちをこき下ろす。
こりゃいかん。草龍はお叱りもうしあげるわけです。
3回提案しましたって、ぜんぜんそんなのゼロみたいなもんです。あなたにとっては1度や2度の提案でも大事業だったでしょうが、それを聞く経営陣にとっては大海の一滴みたいなもんですよ。
時代を考えてみてください。あなたご自身もふくめて、ものすごい量のインフォメーションに、日々さらされていませんか?
たった2〜3回だけ広告をみて、それで何十万円のモノを買いました、なんてこと、いったいどのくらいあります?
まったく同じ話を、最低7回は繰り返さないと、けっして伝わりません。
最低で7回です。なんなら10回、20回繰り返してください。周りの方々にもです。その覚悟がないと、伝わらないし、変えられない。
まして、あなたのアイディアが、あなたがおっしゃるように本当に「世の中(会社)を一変させる」ようなものだったとしたら、なおさらです。
聞く側にしてみたら、あまりに新しすぎて、消化する時間をとらないといけないと思いませんか?
経営陣さんが、あなたの話を1〜2回聞いただけで、あなたのいう通りにしないって、それは当たり前。それをバカ呼ばわりしたら、もうなにも生まれないよ。
え?ビジネス書やネットで褒め称えられている超カリスマ起業家は、こんなバカじゃないじゃないかって?
それは虚像ですよ。「カリスマ」に仕えたり、仕事したりしてことがなく、描かれたものを読んでるだけだと、憧れちゃうかもしれないけど、現実にそんな完璧なヒーローなんかいませんよ!
芸能人さんやスポーツ選手さんを、けっして「悪いこと」をしない(してはいけない)聖人君子だ、と考える人が多いけれど、それと同じ。
組織を動かすひとは、「ひとを動かす仕組み」を賢く作っている。カリスマ性をブランディングするのも、その「仕組み」のいちパーツなんですよ。
ということで、
??説得する回数と量と範囲を限定したらそれでおわり。
??伝わらないのは相手のレベルが低いからだと考えたらそこで終わり。
??本やネットのなかの「理想の職場環境」が実在すると誤解したら終わり。
これは、若いころ先輩がたから教わって、自分に言いきかせ続けてきたことなんです。
とても僭越ではあるのですが、お叱り申し上げますね。それが仕事なんで。
(USCPA講座 草野 龍太郎 先生)