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「成功し続ける方法」読んでいますよ!と言っていただいた。その方はUSCPAはじめプロ資格をもち、実務でもたいへんな業績をあげている事業家さんである。
その方のお仕事ぶりを見ると痛感するのは、しっかり仕事をしている人ほど謙虚に勉強し続けているということ。「わたくしはその分野はわりと詳しくてですねー」などと軽く自己アピールすることはけっしてない。
けれどもその人の実績は、みんなが知っている。他人がリコメンドするから、セルフでアピールする必要がない。
自己アピールがいけないわけではない。最初はだれでも、自分でアピールしなければ、誰からも拾ってもらえない。
ただ往々にして、あまり謙虚でなくなにごとも自己流な方々が、いつまでも実績が積めない→自己アピールに頼らざるを得ない。それが世の常である。
謙虚でないための行き当たりばったり。せっかく、自己流は伸びないよ、と教えてくれる人がいても、けっしてリスペクトせず、アラばかり探してバカにする。するとやはり確実に能力は伸びない。
自己流一択の方々が情報取得にはコストがかかるという認識が乏しい(だからこそ自己流に陥った)ということも影響している。
若くて血気盛んな世代の方々が、経験がないからこそ怖いもの知らずで自己流に突っ走るのはよい。むしろそうすべきだ。若いうちに数年自己流でやってみて、このままじゃあ身につかないな、と気づけばよいのだから。
ところが、そこで「自己流を選好した自分が悪いんだ」とけっして思いつかない、それが向上しない人の共通点だ。自分以外の外部環境のなにかが間違っている。森羅万象のどこかが自分と波長があっていない。自分がズレているんじゃない、宇宙が自分とズレている。
失敗を認めずに、今日も自己流をつらぬく。誰にも頭を下げて教えを乞うという気になれない。ましてお金を払って教わるなんて、そんなアホな。ネット見れば出てるじゃん、ほらこのサイトに「専門家は嘘つきだ」って書いてあるよ。騙されるもんか。
これと対象的に、ある分野で「成功し続けている人」は、ほかの分野でもそこそこやり遂げる。趣味や遊びでも一流だ。それは「新しいことの学び方」を学んでいるからだ。
自己流でさんざ失敗したら、方針転換して、きちんと一流の方に教えていただくということをやつてみるとよい。
ただし、これまでの「他責」マインドに満ちた傲慢さのままでは、けっして教えてもらえない。では、「謙虚に教えていただく」とはいったいどういうことなのか。なにより最初に、「学び方」「教わり方」にたけている方の仕草をみてみてはいかがだろうか。
たとえば、そういう人たちは、必死でテイクノートし続けていないだろうか?
こう書くと確実に誤解する人がいるのだが、これは精神論とか、礼儀作法とか、そういう話ではない。
学ぶ技術というものは、それ自体を、いつかどこかの段階で学んでいなければ、けっして自然に身につくものではない、ということなのだ。
失敗したとき「他責」し続けて、「自分が成長しない事実を謙虚に認めない」ひとは、「自分的にはできているんですけどねえ」と言い放つ。あるいは「いろんなバックグラウンドがあるんですから、そのやり方がぼくにあうはずないですよ!」と食ってかかる。
その怖いもの知らずさが、すでに他人から見たら失敗のレベルなのだが、そんなことも理解する気がないから学べない。
ずっと前にやっていた失敗を、これからも繰り返す。確実にこれからの人生も「失敗し続ける」ことが約束されてしまっている。その負のループから抜け出せるチャンスとは、そんなに何回も出会えることはない。
(USCPA講座 草野 龍太郎 先生)