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2020/06/17
成功し続ける方法/390回 <尋ねると教えてくれる人たち>
「減価償却」です。「原価償却」ではありませんよ。
「損金算入」です。「参入」ではありませんよ。
「会社の清算」です。「精算」ではありませんよ、割り勘じゃないんだから。

会計初心者の方々にお話しする際には、このへんの間違いやすいところを、強調してお伝えするようにしています。もちろんテキストに「これはAである」と書いてあるなら、その通り読み上げれば講義は成立します。しかし私は、「これはAであって、Bではない。ましてCでもDでもない」というように教えたいのです。

というのも、こう信じているからです。知識を身に着けるために一番「効率が悪い」方法は、「これはAである」とだけ覚えこむことだと。

なぜ効率が悪いかというと、実際に使えないからです。「これはBですか?」「ひょっとしてCとか、なんならDなんじゃないですか?」と聞かれたときに、答えられないからです。「う〜ん、Bであるとも言うのかな?」みたいに迷う。そうこうしているうちに、最初の「これはAである」を忘れてしまったりする。

なので、最初から「これは、BでもCでもDでもなく、Aである」と学ぶほうが、結果的に効率がいいのです。もちろんその際に「なぜBやCやDではないか」まで学べればパーフェクトです。

お気づきになった読者も多いかもですが、マルチプルチョイスの4択問題は、こう言う学習には最適のメソッドなんですよ。だから草龍はいつも、問題集はまず回答解説を読みなさい、と申し上げています。しかし、「これはAである」だけを覚えればよいと思っている方ほど賛成してくれませんね。「回答を先に読んでしまったら意味がない」と異口同音におっしゃいます。まあ、仕方ないですね、二極化の世の中ですから。

経理や税務などの会計実務の世界で働き始めると、チームにはいろんな人がいることに気づきます。みなさんが新入りで、当然わからないことがたくさんあるとしませんか。そういうあなたに対して・・・

1.FAQを能動的に提供してくれる方。あなたが聞かなくても、新入りのあなたが困りそうなことや聞きそうな質問、さらには、陥りそうなワナや踏みそうな地雷について、あらかじめ、しかも網羅的に教えてくれる。

2.こちらが聞いたことに対しては、網羅的に教えてくれる方。こういう人に対しては、「私が踏みそうな地雷はどういうものがありますか?」と尋ねれば教えてくれるので、こちらとしては質問が少なくてすむ。

3.こちらが聞いたことに対して、一問一答で答えてくれる方。こういう人は、「地雷を列挙してください」といわれても網羅的列挙ができない。というか網羅的列挙を依頼するとストレスに感じたり、怒りだしたりする。だから「これは地雷ですか?」「これはどうですか?」と全部にわたって質問しなければならない。

4.聞いても、答えられない方。

などのタイプがおられます。もちろん、頼りにすべきはタイプ1の方です。このタイプ1の方こそ、「これはBでもCでもDでもなくてAだ。なぜBCDでなくAであるかというと、、、」式にものごとをとらえる習慣がある方なんです。みなさんの多くもそうでしょうね。

タイプ2の方は、タイプ1のやり方を知らないだけの方が多いので、それを教えると一瞬でタイプ1に変わることが珍しくない。ただ、変化を拒むタイプ2は、決してタイプ1になることはありません。タイプ3や4の方は、タイプ1になるのはちょっと難しく、メンタルを傷めるコストのほうが高くつくこともありますから、無理に変わろうとしないほうが良い。

という風に、ここでもタイプ1とそれ以外が二極化していきます。二極化といっても50:50ではなく、タイプ1になる方は全体の数パーセントしかいません。9割以上の方はタイプ1ではなく、「これはAである、以上」とだけ勉強する方々です 。ただしデータに基づくファクトでなく、草龍のガッツフィーリングです、すみません 。でも、このことが、企業の活力のなさや変革に対する拒否感などに繋がっているのではないかな、と考えています。



(USCPA講座 草野龍太郎先生)
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