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都市が、再び動き始めました。
「なぜ、日本(や東南アジア諸国)ではCOVID-19による死者・重傷者が、欧米に比べてとても少なかったのか」は、いまだに釈然としていません。BCGワクチン摂取が義務化されていることが関係あるとか、エリア的に既存のコロナウイルス罹患がもともと多いのではないかとか、諸説ありますが結論は出ていない。
「負けに『不思議の負け』はないが、勝ちに『不思議の勝ち』はある」という箴言(しんげん)があります。試験もそうですね。準備不足でも、まぐれで受かっちゃうということはあります。
しかし、まぐれで資格ホルダーになってしまうと、その後が大変です。周りから、「資格あるんですよね?」と、高いレベルのアウトプットを期待されてしまうからね。それを恐れて資格を取ったことを隠すハメになったら、これぞ本末転倒の極致。
そんなことになるくらいなら、受かるまで時間がかかって苦労したとしても、勝ったときに「これは『不思議の勝ち』ではない」と思えるほうが、ずっといいですね。
自分の「勝ち」が「不思議(単なるラッキー)」だったのか、はたまた多大なる努力の当然の結果なのか、それは自分自身が一番よくわかることです。
自分はまぐれ勝ちしたに過ぎないんだという思いは、決して拭い去ることができません。その結果、救いようがないほど自己肯定感が低くなったり、あるいはどうにか自分を偽れないかと異常に自己肯定してみせたり。
今から115年前の5月末、大日本帝国海軍は対馬海峡で、ロシア帝国の艦隊を撃破。この「日本海海戦」の大勝などなどがあって、日本は対ロシア戦争に「勝ち」ます。
東郷海軍をおとしめるつもりは全くありませんが、この海戦は完全なホームゲーム。
ロシア艦隊は、バルト海を出撃してからアフリカ南端希望峰を回り、地球を半周して日本海にたどり着きました。当時「日英同盟」があったので、大英帝国はロシア艦隊にさまざまなハラスメントをしてくれました。
例えば、ほとんどの艦船はスエズ運河を通る近道ができず、上述のとおりアフリカ大陸をぐるりと回る航路を強いられました。またインドやシンガポールなどでもあまり寄港させてもらえない。
休息もなければ補給も足りず衛生状態も最悪ということで、ロ艦隊は士気ダダ下がり・人間関係ガタガタになっていた。
そのヘロヘロな敵を、「ホーム」の東郷艦隊が迎え撃ったのです。「そりゃあ楽勝だったでしょう」などとは決して思いませんが、しかし、それなりのハンデはもらっていたうえでの「勝ち」だったのは間違いない。
しかし、当時の国民もマスコミも、この海戦の勝利を過大に評価しました。
これは当然の勝ちである
もはや日本は一等国である
ていうか日本は神国である
政府は「不思議の勝ち」だと自覚していましたので、ロシアに請求する補償はほどほどにして講和条約をまとめました。しかし大衆と新聞はこれを許さず、日比谷公園で暴動が起きるなど「弱腰政府への批判」がうずまきました。
それから36年後。相変わらずの国民とマスコミによる「弱腰政府批判」キャンペーンに耐えかねて、東條政権は連合国に宣戦布告。4年で国中を焼け野原にされ、300万人の犠牲者を出すことになりました。
「不思議の勝ち」を謙虚に「不思議」と認めずに、「これが日本の実力ってわけよ」と盛り上がってしまう国民性は、その後も高度経済成長とバブル経済でいかんなく発揮されます。ここでも日本はまた敗戦しましたが、この敗戦からは30年間立ち直れていませんね。
というわけで、みなさん、「負けに不思議はないが、勝ちには不思議がある」ということは、忘れないほうがいいです。特に「勝った」「勝ってる」「勝てそう」と思った時こそ、思い出したほうが良いです。
勝つことが悪いと言っているのではありません。繰り返しますが
自己の勝利を素直に受け入れない「自己肯定感の異常な低さ」はよくない。卑屈はいけません。そうではなく、謙虚がいいんです。
この「謙虚」を言い換えると、、、もうみなささん、わかっていただいてますよね。
そう、「客観アンド上機嫌」ということになるわけです!
(以上は、あくまで資格試験の話です)
(USCPA講座 草野龍太郎先生)