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??二極化が止まらない
はい、メルマガお休みの間に、まあいろいろなことがありましたね。
さて、ポストコロナになったら『なにもかもすっかり変わる』とか、『誰にとっても不可逆な変化が起きる』と声高に叫んでいる方々がおられます。
しかしいつも申し上げているように、このムラにかかっている呪術は、そこまで弱くありません。
数ヶ月もすれば、ほとんどの人たちは何事もなかったように、ビフォアコロナの日々に戻るでしょう。
ハンコとFAXと会議と、タバコ部屋と、そして労働集約の日々。この安心に勝るものはなかなかありません。
みんなで手を繋いでいれば、とにかく安心ですからね。でも、その手だけは、ちゃんと洗おうね。
ということで、これから変化は起きることは起きますが、「誰にとっても」ではありません。ただ、ごく一部の人たちにとってはものすごく大きい変化が来ます。
そうです。真に不可逆なのは、このような二極化が進むということなのです。これはもう止まらないでしょう。
もちろん、変わろうと変わるまいと、当面の間はかなり厳しい日々が待っていることは確実です。変わったからと言って危機を「回避できる」わけではありません。変わらないからと言って危機を「乗り越えられない」とも限りません。先はほんとに見えない。ならば、信じた道を選んで進むしかない。
ただし、忘れてはいけないことがあります。それは
??30年前と違って今回は危機はすぐにやってくる
ということです。
「バブル崩壊」は約30年前、1990年代初頭のできごと。草龍が社会人になりたての時でした。そのとき、不動産価格や株価などは「崩壊」したのですが、企業がどんどん潰れていったのは、じつはその「崩壊」の直後ではありませんでした。
それは「崩壊」から数年経ってからのことでした。じつは1998年前半までは、「実質GDP(←BECで学びますね)」は減少しなかったのです。それが、98年後半から99年にかけて、急激に減少に転じました。
すると即座に企業倒産が連鎖しはじめます。知り合いの経営者にも「取引先に続けて倒産される」という目にあう人が増えてきました。失業率と自殺数も急増します。
「崩壊」から数年経ってからの、20世紀の終わりにリアルに、青年草龍はビジネスの厳しさ・恐ろしさ・切なさを、まじまじとこの目でみました。
さて今回は、そのときと違って、実質GDPが「同時進行」で減少しています。なんと言っても、街の食堂に至るまで、経済活動を止めちゃったなんてのは、前代未聞のこと。
ですので、約30年前と異なり、今回は間髪入れずに企業の破たんラッシュになるおそれがあります。
国は「どんどん貸す」「どんどん資本入れる」と言っていますが、、、読者のみなさんならわかりますよね、そのためにどれだけのペーパーワークが必要になるかってことを...
ま、それはさておきです。
??仲間と自分を守り切るために、いまこそ「利他」の信念を
会社も、個人も、「一発ドカンとやられたから潰れる」ことは少ない。それよりも「一発」を何度もなんどももらい続けたために、「もう、これ以上立ち直る気がなくなる」。そして潰れる。
ひとは、一回殴り倒されても、立ち直ることができます。しかし、立ち直ったそばから次から次へと殴り倒され続けていると、何度目かには「もうだめだ」ってギブアップします。
だからみなさんは、殴り倒されてもまた立ち上がらないとだめです。立ち上がったらまた殴られることが確実であっても、です。
そのかわり、立ち上がるのは、ゆっくりでよい。何かにつかまりながらでよい。
他人に格好いいところを見せようとする、なんてのは、このうえもない愚行です。どんなに無様でもいいから、ゆっくりと、しかししっかりと、立ち上がりましょう。
そのとき、またやられるとわかっていても立ち上がるという折れない気持ちを支えるのは、ほかでもない「利他の信念」です。
「自利」だけがモチベーションだと、こういうとき脆いですよ。だって、自分が「もう、いいや」と欲が尽きれば、それで終わっちゃうんですから。
顧客のためにビジネスを回し、
自分の元に集まったヒトのためにビジネスを創り、
仲間と家族と自分をサバイバルさせるためにビジネスを守る。
こういう「利他」という信念があればこそ、いつまでも、何回でも、立ち上がり続けることができます。
みなさんが、「これを機に変わる」組織におられるのか、それとも大多数の「変えない」組織におられるのか、それはどちらでもよい。先述の通り、どちらなら生き残れるのかは、もはやまったくわからないのです。
ですが、いずれであっても、会計や経営企画やビジネスデザインなどの各分野で、リーダーを嘱望されていると思います。
いまこそ「利他」の気持ちを切らさずに、仲間を正しい方向に導いてください!正しい方向とは、どんなに格好悪くてもいいから、とにかく立ち上がり続ける、生き延びようとする、ということです。
ただ、ほんとうに厳しいパンチが飛んでくるってことは、お互い、覚悟していきましょうね。
(USCPA講座 草野 龍太郎 先生)