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経済成長は人の七難(しちなん)を隠す。景気が良かった時には隠されていた「本性」が、こういう危機の時になると、次々と白日のもとにさらされていく。
と言っても「悪い本性」ばかりとは限らない。「この人はこんな素晴らしい人だったのか」と驚かされることもある。
危機に臨んでまずくっきり見えてくるのは、気がちっちゃい人と大きい人の違い。その後でわかってくるのが、気が弱い人と、ほんとに気が強い人の違いだ。
あえて4象限のマトリックスで分類してみると、こんな感じだろうか。
1.「気が小さい」x「気が弱い」
→メンタルがぐらつく人たち。助けて差し上げたいが、ただ励ませばいいというわけではなく、接し方はとても難しい。
2.「気が小さい」x「気が強い」
→なんとこの人、実は頼れる人だったんだ!といい意味で驚かされる。
3.「気が大きい」x「気が弱い」
→現実を見据えてくれ。足もとを固めて前に進もうよ!そう励ましたくなるが、なかなか聞く耳を持ってもらえない。
4.「気が大きい」x「気が強い」
→あのね...とにかく自粛の意味を考えなさい。Stay Home Now!
言いたいのは、危機にあたって頼りになるのは2に挙げた「細心であるが芯が強い人」だということ。
反対に、平時「豪快」を売りにして、いかにも頼りになる3や4の人は、意外なほど動きが悪くてがっかりさせられることが多い。
隠されていた「本性」が、危機によってあかあかと照らし出される。それが意外であればあるほど、人々の心にバシッと刻まれる。そして危機が過ぎた後もずっと「ブランド」として残っていく。
意外に頼れる人だった!というハイブランドを獲得できた人は、大きな資産を得ることになるだろう。半面、あの人は口だけだった、ガッカリした、とローブランド烙印を押されてしまうと、これはえらいことになる。
この危機は必ず終わる。長くかかるかもしれないけれども「平時」は必ず戻ってくる。その時に、危機の間に評判を落としてしまったことを後悔しても、ちょっと取り返しがつかない。
読者の皆さんのほとんどは医療関係者ではいらっしゃらないだろう。みなさんは、今をどうにか切り抜けつつ、「平時」が戻ったときに「復興」に向けて全力で貢献する役割を、すでに負っている。そうすることで、家族と仲間をサバイバルさせるのが、すでにみなさんのミッションなのである。
であるからこそ、「危機」の今、決してローブランド烙印を押されるようなことのないようにしておきたい。「気は小さく(細心)、しかし気は強く(芯を保つ)」を心がけていただきたい。
細心と保芯。実はこれを行動ベースで言い換えたのが、他でもないこのコラムの一貫したテーマ:
「キープ客観・ステイ上機嫌(アボイド不機嫌)」
なんです。
今、先のことを考えると、絶望感しか湧いてこない。本当に心細く、不安で潰されそうになる。
しかし、そういう気持ちに襲われているのはあなただけではない。こう書いている草龍も同じだ。だから呼びかけている。こんな時こそ、客観・上機嫌を、一層しっかり心がけようではないか!
「リモートワークは資格試験の勉強のチャンス」などと言われる。しかし、心が黒く塗り潰されているようでは、何の勉強も手につかない。
まずは客観And上機嫌(こと、細心And保芯)を心がけよう。それを続け、あとは自分なりのリズムを取り戻すことさえできれば、いずれ勉強も手につくようになつてくる。
今、この瞬間に貢献ができないとしても、焦る必要はない。決して自分を責めてはならない。ましてや間違っても、不安のあまりダメすぎる自分をさらけ出すことなどのないよう、自律すること。みなさんの本番ステージは「アフターコロナ」にやってくる。
(USCPA講座 草野龍太郎先生)