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タイトルは、文豪ゲーテの言葉である。「キープ客観・アボイド不機嫌」、お互い心がけましょうね。
不機嫌の話をしよう。
日本の世帯の3分の1超は単身世帯だそうだ。シェアは2020年推計で約36%らしい。そして、上記の多くは「一人暮らしの高齢者」であると推測される。
人生100年時代。健康やお金はとても大切だが、それ以上に「家族」と「仲間」が本当にかけがえのない時代である。というか、そういう時代に戻ったということだろう。近代資本主義の「実験」は、ここ日本ムラではついに根付くことがないまま立ち枯れようとしている。
本当に大切なものを若いうちから大切にする生き方をしよう。それは、健康を大切にし、お金を大切にし、そして「家族」や「仲間」を大切にする生き方ということだ。
これまでの日本の、それも大企業に「バリバリと」勤めてきた方は、上記のどれもがないがしろになっている例が多かった。
多くの方々が、自分のアイデンティティの第一番目に「終身雇用ムラ」の一員であることを掲げていた。それに比して、家族との関係や、仕事ムラ以外の仲間との関係は、ずっとプライオリティが低かった。そういう方々が仕事ムラで高いポジションを得てきた。
草龍のかつての勤務先、というか所属ムラでは、月間平均労働時間が220時間を超えていた。総務経理人事部門の人たちまで入れた平均だ。
メシは毎晩ムラビト同士で食った。ちなみに平日は、21時より早く終われば「おまえ、ヒマなの?」と白眼視される始末。そして週末も、ゴルフや冠婚葬祭でいつも一緒。
お給料は安くはなかったものの、ムラビトとの飲み食いできれいに使い果たしていたし、その結果健康もボロボロ。そして家族やムラの外の仲間のことは、全く大事にしていなかった。
「大事にしていなかった」と言うのは、要するに「時間を投資していなかった」と言うことだ。40歳くらいまで、プライベートな人間関係に、ほとんど時間を使わなかったのだ。
そんな自分が、時間のかけ方をいちから見直すことになったのは、身近な人たちが(偶然)相次いで亡くなったことがきっかけだった。
人間は、死ぬまでしか生きていない。
動けなくなるまでしか活動できない。
記憶が消えていくようになるまでしか、さっき食べたご飯のことも覚えていられない。
そして、家族や仲間に「時間を使える」のは、「使える時間」があるうちだけである。
ついでに言うと、勉強や運動で自らを鍛えることができるのも、それができなくなるまでの間だけである。
この当たり前のことに気づいて、まずはUSCPA資格を取るために1,000時間を最優先で投資することに決めた。ウソじゃないよ。これが40歳のとき。
そして時間を、家族や仲間とともに使うようになった。そうして、すぐに悟った。プライベートな時間を過ごすときこそ、仕事と同じように「キープ客観・ステイ上機嫌」でいなくてはならない。いや、仕事のとき以上にそれを心がけなければならない。
「地位」「権限」がなくなった老後を健やかに暮らしたいのであれば、それを目指して「客観的で上機嫌な時間」を大量に投資しなければならない。資格試験とは違って、1,000時間ぽっちの「訓練」じゃ、到底足りないよ。
ここ数十年なかった大不況が、ついにやってきた。家族と仲間、そして自分がサバイバルするために、まずは仕事の腕を磨き、利他・貢献力を高めること。これは必要条件。
しかし十分条件は、家族や仲間とともに「客観・上機嫌」に過ごせる人であること。めちゃくちゃ辛い状況が何年も続くけれど、「アボイド不機嫌」に徹することができることだ。
「人間の最大の罪」を犯して、ダークサイドに転落しないように。試されるのは、これからだ。
(USCPA講座 草野龍太郎先生)