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2020/03/12
成功し続ける方法/379回 <非常事態にはKeep客観・Avoid不機嫌 >
非常事態です。まさに「ブラック・スワン」が発生しました。

この事態を収束させるべく、多くの方々が努力しておられます。

おりしも、東日本大震災から9年。

「思いもよらない事態」は、誰の身にも起きます。「事態」が同時多発することだって、しばしばあります。

「思いもよらない事態」の発生を知ったら、まずどうすれば良いでしょうか?

とにかく「Keep客観」、そして「Avoid 不機嫌」を心がけることです。

(日ごろこのコラムで「Keep客観」とセットでお勧めしているのは「Stay上機嫌」。さすがに、事に臨んで「上機嫌」まではちょっと無理かもしれませんが、せめて「Avoid不機嫌」はお願いします)

不機嫌を避けて、客観的になるように努める。それは、何のため?

もちろん、「できるだけ早く状況を把握するため」です。

思いもよらない事態に直面したとき、いちばんの問題は「状況把握までに時間がかかること」なんです。

状況の把握に時間と手間とコストがかかる。そのことについて、客観的に、かつ不機嫌になることなく、冷静に覚悟して取り組むことが、あなたの義務です。

逆に言えば、緊急時だというのに時間と手間とコストをかけずに手に入ってしまう「情報」については、その価値をよくよく見極めないといけません。要は、あなたまでデマにやられるなよ、ということね。

解決すべき課題は、間違いなく多元的で複雑に違いないです。どこが障害となっているのか?どこを突っつけばよいのか?どこを突っついてはいけないのか?それらが簡単にわかるはずはない。

よって「Keep客観・Avoid不機嫌」です。まずは、じっくりゆっくりと現場の音に耳を傾け、現場の匂いを嗅ぎ、現場の熱を感じること。そこに時間をかける。

いくら有能なあなたでも、いきなりすぐに指示を飛ばしまくってはだめ。

そう、あなたをはじめ、このコラムの読者には「デキる専門家」が多い。だからあなたたちには、きっといろいろ「見えてしまう」ことでしょう。

ぐちゃぐちゃに荒れた現場で、おっと、これができてない。おや、あれはないのか。おいおい、いったいいつできるんだ、と。

「見えてしまう」からといって、そこであなたが「緊急に、これこれしかじかを改善すべきです!!」と絶叫しても、状況は好転しない。

しないどころか、あなたが強い反発を受けるだけです。

こんな感じ。
↓ ↓ ↓

「《二階》から舞い降りてきた偉そうな人が、状況もわからずに一般論や過去の経験をもとに、《一階》を批判するだけ批判してふんぞりかえっている」
「いったい、なに様なんですかね」
「ざけんじゃねえ、ってんですよ」

.....あなたは、「正しいこと」を言っているつもりであって、決して偉そうにしているのではない、そう悲しくなります。なぜこの人たちはわかろうとしないのだろう、と嘆きます。そして、だいたいあいつらはいつでもこうだ、と憤ります。

こうなっては、「こころをひとつに」事態を打開するなんて決してできません。「One Team」なんて夢のまた夢です。

緊急事態への対応に「正しいやり方」はもちろん必要ですが、それでは現場は動かせないのです。なぜか?現場にはもともと、「正しさ」を徹底できない障害や困難があるからです。

皆、決してあなたに逆らいたいわけではない。あなたの言うことをわかろうとしないぞと決意しているわけでもない。そして、あなたが説明する理屈がわからないわけでもない。

あなたの説く「正しさ」を実現するには、超えなければならない障害が山ほどある。考えてみてください、そうでなければ、その「正しさ」はすでに実現しているはずではありませんか。

「なすべきことはわかってはいる。が、できない」。なぜそうなのかという理由、要因、その背景までも一目で見抜くというのは、いくらあなたでも不可能です。

ですから、あなたが予想外の事態に見舞われた現場をどうにか建て直さなければならなくなったときには、まずは時間をかけてください。最前線で対策にあたる人たちの相談にのり、一緒に手を動かし、「おお!頼れる!!」と思ってもらうことです。

くれぐれも、最初からあなたが学んできた「正しいこと」を感情的に放言してはいけません。人や組織の批難も控えましょう。

あなたのように「デキる」専門家こそ、現場で煙たがられてしまって活用されなかったら、社会の損失です。あなたの投げる「正しい球」をだれも一球たりとも捕球できないくらいなら、あえて軽?いタマを放ってみて高確率で補ってもらうほうが、よくないでしょうか。

以上、非常事態に臨んだら、「Keep客観・Stay上機嫌(Avoid不機嫌)」を思い出してくださいというお願いでしたが、ここまで読んでくださったみなさんは、もうお分かりですよね。そうです、これ、別に非常事態に限らないんです。



(USCPA講座 草野龍太郎先生)
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