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世界経済減速の足音が、、、なんて書くと誰も読んでくれなさそうだが、以前から繰り返し申し上げて来た通り、大きな不況はやってくる。
2008年からの金融ショックのときは、今とは違った。当時は(1)BRICsなどと言われる「新興国」の経済成長が著しかった(2)インターネット&テクノロジー産業の伸長が目覚ましかった。
しかし今、例えば「ブラジル・ロシア・インド、そして中国」の経済状況は皆さんご存知のとおり。またインターネットビジネスも、プライバシー(個人情報)保護や、政治と絡んだフェイクニュース問題などと絡み、大きな規制を受けはじめている。
スタートアップへのファンドの出資も冷え込んでいる。関係者は痛感しておられるだろう。
ということで、今回の不況は大きくなりそうだ。
そんなに不安をあおらなくても、日本はもともと景気が悪かったではないか、今までと変わらないだろ?という人もいる。自分の手取り給料というミクロで、日本経済というマクロを語ってしまう方だ。
それこそCPA(BEC)やCMAなどの勉強をしていただければ、そんな誤解はなくなるのだが。
確かに、日本の労働者の賃金は、ここ20年以上にわたり下がり続けてきた。
例えば、1995年を100とすると、USの賃金は200前後、ユーロ圏も160前後、しかし日本は90くらい。
また、中国との賃金格差も、みるみる縮小している。
(注:これらには為替の要因もある)
近隣諸国(やロボット)と競合する単純労働者の賃金は大きく下がり、加えて、中間層が没落している。
エコノミストの池田信夫さんによると、これは『グローバルに生産要素が一物一価になる、要素価格均等化の傾向』なのだという。
こういうことだ。90年代後半から「デジタル&グローバル」化が急速に進んだ
(Windows 95は文字通り1995年に発売だ。それまでは「パソコンはネットにつなぐもの」という常識は、なかったのだ)
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工業製品価格が世界的に大きく下がる
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日本でもモノの値段が下がる(デフレ)
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例えデフレでも、賃金の額面(名目賃金)が下がらないなら、それは実質賃金が上がるということだったのだが、
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日本には、外国と異なり、「企業は従業員のためにある(株主のためではない)」「企業のミッションはとにかく雇用数の確保と拡大」という堅い信仰があるため
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逆に、企業が「非正規雇用」を増やしたり、中高年の年功序列昇給を止めても、社会全体としてはそれを受け入れてしまう
(ヨーロッパなどでは大規模デモやストライキが起きるが、日本ではストロング系チューハイを飲んでグチるだけ)
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つまり、日本では「名目賃金の削減」が行われ続けてきた
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これにより上記の
「近隣諸国(やロボット)と競合する単純労働者の賃金は大きく下がり、加えて、中間層が没落している」
という状況に陥ったけれど、これは想定どおり
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「給料が下がってもいいから従業員共同体を守る」ことが、日本では最優先なので、
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ある意味労使一体となって、グローバル価格まで引き下げるようにトータル賃金を抑制
...というのが、この四半世紀行われてきたことなのだ。
この原点は、政財界のリーダーが、「日本が再び世界の経済大国に戻る」という幻想を捨てたこと。
「高度成長ジャパンが超ラッキーだっただけで、早くもとの清貧日本に戻さないと、国は永くは続かない」
という思想である。
これまではまだ、既存正社員が守られて新規参入、すなわち若い労働者だけが割りを食ってきた。しかし、そろそろ、「氷河期」の世代が中高年になってきたので、間もなく全世代にわたる低賃金化が完成する。
ここで政治的に意見を言う気はない。常に読者のみなさんと共に考えてきたのは、家族と仲間と自分がこれからサバイバルし続けるにはどうすればいいのか、それだけだ。
デジタル&グローバルにより、過去の超ラッキーな給与水準は、だんだん近隣諸国と同じになる。
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ならば
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名目賃金の下落にくよくよ・鬱々としているヒマがあったら、
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むしろ、これで自分のバリューが近隣諸国に輸出しやすくなった!と考えられないだろうか?
国際一流資格への投資は、自分を輸出する時代、自分を近隣諸国にマーケティングする時代を生き抜くための、第一歩なのだ。
第二歩は、YouTubeとInstagram発信かな。もちろんトークは英語で、そして、中国語字幕付きね。これ、自分マーケティングには絶必。
(USCPA講座 草野龍太郎先生)