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2020/01/30
成功し続ける方法/373回 <「利他」とはつまり「プロ」のこと>
〜先週の続き〜


1月は「い(行)く」、2月は「に(逃)げる」、3月は「さ(去)る」。早くも旧正月になってしまいました。

何かを始めるために、すでに何かをやめられましたか?

いまは「何を『しない』と宣言するか」がその人や企業のブランドを作ります。

例えば、投資家の藤野英人さんはお酒を飲まない《ゲコノミスト》を集め始めましたし、ゴールドマンサックスは「女性が取締役会に居ない会社のIPOは受けない」と表明しましたね。

さて先週このコラムでは、「やめる(やらない)こと」として、自分の居場所つくり》という「自利」を目的に仕事をすることを「やらない」と決めませんかと書きました。

「自利」の追求は、本末転倒というか、遠回りです。むしろ「利他」に集中する方が、《居場所》を他人から認めてもらえるチャンスが増えるからです。

「利他」に徹しよう・「自利」は遠回りですよ、などと申し上げると、なんだか宗教の修行めいて聞こえるかもしれませんね。

では「利他」とは、「プロフェッショナルに徹すること」と言い換えてもよいです。

プロとは、引き受けた仕事の成果を売ってお金を稼ぐことですよね。

お客とお話しして、「何を・いつまでに・何円で・どのようにしてほしいか(して欲しくないか)」をしっかりと決めて、それを履行することです。

これは「お客の言いなりになる」こととは違います。着手前にお客とお話しする過程で、お客の希望に対して「そうではなくて、こうした方が良い」「ほかにこうする手がある」「それは絶対やめた方がいい」「その値段や納期ではできない」などと意見を交わすことは、絶必です。

しかし、ひとたび合意をしたら、その要件に沿って仕事を仕上げる。それが「利他」に他なりません。

自分が作りたいものを作るとか、自分のペースと気分で動くとか、そういう「自利」は、プロとは言えない。せいぜいセミプロか、上級アマチュア。

「利他」か「自利」かは、道徳的な話ではなく、「思いやり」とか「自己犠牲」ともまったく違います。

仕事を発注する人がしてほしいことをして、自分がしたい(してあげたい)ことをするのではない、というのか「利他プロ」。

「わたしは、これでもね、あなたのことを考えて一生懸命にやってるんですよ!!」と口にするのが「自利セミプロ」。

自利が昂じて「我利我利の人」がひとりでもチームに居ると、ほかのメンバーのメンタルは本当に傷みますね。早く袂(たもと)を分かつべきです。

あ、自利の人を見分けるのは、割とカンタンですよ。やたらと「無償のサービス」を他人に求めるからです。

「利他」は自己犠牲ではないので、無償では絶対にできない。正当な対価をいただかない瞬間に、「自利」が始まるからです。「利他プロ」は、それがわかっている。

「無償」を求めるような人は、それだけでなく、会食に誘われても手土産のひとつも持ってこないし、仕事の現場に現れても差し入れひとつしない。そして「自分の報酬は安い」と愁訴(しゅうそ)し続ける。こういう「自利」を、ことしは、、、いや、2月から改めたいですね。



(USCPA講座 草野 龍太郎 先生)
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