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『仏神は貴し、仏神をたのまず』
剣豪・宮本武蔵の言葉である。
武蔵は、戦いを前にして神社に勝利を祈ろうとしたとき、ハッと気づく。
神仏に《お願いいたします、勝たせてください》と依頼する己の弱さ、それこそが最大の敵なのだ、と。
神や仏に、畏敬の念は払う。しかし、決して依存してはならない。
大いなる存在に守られていることを信じ、常に感謝はする。けれども、そうして自分が守られているのは何のためなのかを忘れない。
守られて、生かされている理由。それは「鍛錬を続けるため」である。
『千日の稽古をもって《鍛》となし、 万日の稽古をもって《錬》となす』
(武蔵『五輪書』)
神仏の前では、まず自分が鍛錬できる環境にあることに感謝し、そしてさらに鍛錬し続けることを誓約する。
しかし、その鍛錬の結果を頼んだりはしないこと。仕事や試合や試験について、「結果をいい感じにしてください」なんてことを、お願いしてはいけない。
結果を頼んだ途端に、心はいっそう弱くなっていきます。
感謝と誓願に加えて、神仏にお願いできることがあるとするなら、それは「どうか、鍛錬を続けさせていただけますように」ということ。
鍛錬をさえぎる「邪」や「魔」から、どうか守ってくださいと祈る。
自分の弱さにつけ込んで、鍛錬する決意をくじかせる最凶の「魔」、それは「虚しさ」という感情である。
こんなことを続けていても虚しい。いったい何になるのか?何にもなりはしない。
こういう「虚しい」という気持ちは、すべてを台無しにする。
人は辛いから鍛錬をやめるのではない。「虚しさ」によって、鍛錬を続けられなくなるのだ。
「虚しさ」こそは、魔事・魔障の極みなのである。
神仏に感謝し、一心に鍛錬することを誓願し、そして「虚しさという魔」から守っていただく。
新春には、ぜひ、そのようなお参りをなさってくださいね!
さあ、来年こそ、
キープ鍛錬、ステイ修行!
キープ客観、ステイ上機嫌!!
少し早いですが、今年の草龍コラムはこれで締めです。ご愛読ありがとうございました。
みなさま、どうぞ良いお年をお迎えください。
(USCPA講座 草野 龍太郎 先生)