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読者からときどき誤解したご意見をいただくので、申し上げておく。
このコラムではいつも、『これからの日本で』我々がどうビジネスをサバイバルさせられるか、を考え続けているつもりです。
草龍には、「日本は終わった。→ あとは海外に行くしかない」などという発想は全くない。
逆だ。先人のお陰で、せっかく「国」という強力なバリアがあるのだから、その中で仲間や家族とともに生き延びるほうがよい。
ここ、ハッキリさせといてください。ただし、
国内で頑張るためには、いや、国内で頑張るためにこそ、
「国内で完結しよう」
という間違いだけは、絶対に避けないといけない。これも強調しておく。
「この国で」生き延びることと、「この国の中だけで」その手段を講じることとは、全く違うわけです。
ただでさえ、毎年数十万人ずつ人口が減っていく国であり市場である。この中だけで完結しようといても、無理がある。
すでに人口激減が著しい県がいくつかあるのは、みなさんもご承知のとおりだ。そこではすでに地価も暴落し、景気は冷え込んでいる。
仮にその県では、国も地方も消費税を課さないことになったとしよう。しかし、それだけでその県のみなさんの消費や投資は増えるだろうか?
他県から個人やビジネスが、その県に移動してくることはあるかも知れない。しかし、移ってきたビジネスが、その県の中だけで完結しようとするだろうか?
そう考えていただければ、「日本で生き抜く、しかし日本の中だけで完結しようとはしない」という戦略に、うなずいてくださる方もおられるのではないだろうか。
この戦略の前半にも説明が必要かな?「国外でではなく、日本にとどまってここで生き抜く」べきだと断言している理由は、我々が受けた教育の貧しさによる。
これは、ちょっとやそっとの努力では挽回できない。
英語力、理数系力、歴史、論理的思考と発言の技術、さらにはアートや美への感性、はたまた、お金の殖やし方などなど、いま「国境の外」で生き抜くために必要な知識は、我々はほぼ全く持ち合わせていない。
(もちろん個人的に、あるいは部分的に優れた方はおられる。草龍は「全体」の話をしているので、「わたしはできる」という反論は間違っている。こういう人も、論理教育がない国の被害者なのだが)
上記は、単にすごく足りないという状況ではなく、「レベルが低すぎて、国として危機的な状況」にあるのが実相だ。
しかし、国境の中では、英語(による情報流通)を遮断してしまった人が圧倒的多数だ。したがって、外のナマの実相に触れることがない。
だから、いまの日本と日本人がどれだけ軽く見られているかの実感も沸かない。
いまも多くのビジネスが国境の外から押し寄せているが、そのほとんどが、老人や企業が大量に抱え込んでいるキャッシュを狙っているだけである。150年前の清朝末期の中国に押し寄せた米欧列強。その図と似ているかも知れない...
(と言っても「全体」には通じないのだが。それも歴史教育が乏しいためだから、仕方がない)
「いま、ここにある危機」。しかし、「全体」が危機を実感するのは、驚くほど遅い。
「危機」をどんなに叫んだところで、
「おまえは、心配性だなあ〜」
「空を見てみぃ。いい天気じゃ」
とか、
「縁起でもないことを言うな!」
「不安を煽ってどーする!」
で終わる。
それは、残念ながら、この秋の度重なる水害でも示されたとおりだ。
この国境の中で、多くの人が「やばいかも」と感じる頃には、本当に手遅れなのだ。
というわけで、みなさんは今すぐにでも行動に移った方がいいと思う。
言葉ができなくても、いや、できないからこそ、とにかくいますぐ国外に旅行に出かけてみる方がいい。
それは、いまの日本がどれだけ存在感がないか、という実相の一端に触れられるから。
そうすれば、「日本にとどまって、でも日本だけで完結しないキャリアプラン」を考え始める気になるだろうからです。
(USCPA講座 草野 龍太郎 先生)