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2019/10/02
成功し続ける方法/362回 <あなたしかできない業務>
新卒の方に高額の報酬を提示する企業が、日本でも出てきたという。

そういう企業では、先輩たちは「おーい、そこの1,000万円くん、タバコ買って来てくれや」などとその新卒さんに言わないんだろうか。

「へえ、1,000万円くんでも、できないことあるの、ほおおお」とも、その新卒さんに言わないんだろうか。

ちなみに上記の「1,000万円新卒くん」を「MBAくん」に差し替えれば、90年代から00年代にかけてムラのいたるところで見られた実話になる。

多くの経営者は、人材の新陳代謝の必要性を感じている。実際に行動に移す企業では、新卒や若手の技術系を給与アップで囲い込もうとし、かたや、将来性がないと判断した従業員には「早期退職」を強く勧める。

そんな中、タニタさんの動きは大変興味深い。正社員を辞めてもらったうえで、個人事業主との業務委託契約という形に移行してもらおうという試みである。

雇用でなく、契約期間は1年ごとで、更新保証はない。大部分の福利厚生フリンジもなくなる。リスク満載であることを考えると、単に正社員時の給与に社会保障費を上乗せされているだけでは、金銭面では釣り合わない。

とはいえタニタさんでは、他部署はもちろん他の企業の仕事も自由に追加で受けてよく、タニタとの契約を(1年単位で)打ち切る自由も個人事業主側にあるようだ。

総合的に見ると、数年以内をめどにタニタさんを辞めることを目指しているのであれば、当面の収入を会社が保証してくれながら次のステップの準備ができる制度であるとも評価できるだろう。

この点で、タニタさんの制度が労働法の解雇規制の脱法行為である、という批判は当たらない。ただし、この制度を選択するのは社員の自由意思で、強制されるものではないということが前提であるが。

テクノロジー業界では、俗に7割以上が転職経験者だとも言われている。若いプロたちは、大企業に勤めるのは「職歴」を積むために過ぎない。運良く「映える(ばえる。見映えがよい、という意味のInstagram用語)」プロジェクトに籍を置けることだけが目的なのだ。

ムラの老人が逃げ切りをはかって、法制度や組織の仕組みの改革を先送りしているのを尻目に、雇用の流動化は日本でもすでに始まっている。

雇用の流動性が高まれば、スタートアップ経験のある大企業人材も増える。その逆もしかりだ。

いまの大企業には、スタートアップと下請け業者の区別がつかず、単純に出てきた見積額の高い安いだけでしか判断できない「世間知らず」な方がほとんどだが、これからは、こういう方々が減っていくかもしれない。無理かなあ。

みなさんがお勤めの企業の経営者さんも大きな決断をする準備を進めているかもしれない。経理部門だと、その動きが早めにわかることがあるよね。

そんな時代、みなさんに繰り返しオススメするのは、ただ一つ。

「あなたの組織で、あなたが『余人を持って替えがたい(他には替わりがいない)』と言われてしまうような業務は、抱え込んでいてはいけない」

これまでの時代なら、「あなたの代わりはいない」と称される心地よさは、いわば最高の資産だった。雇用が固定化している以上、そのポジションを守り切ることが勝ちパターンだった。

しかし、環境は急速に流動化している。「あなたが辞めたら、残された者がどうなるか分かりますよね?」「それを知りながらほっぽらかして去っていった無責任な人だ、と悪評たちますよ」...

あなたしかノウハウを知らない業務。資産と思っていたポジションが、いつのまにか負債になっているかもしれない。経理・財務部門の「あるある」だ。



(USCPA講座 草野 龍太郎 先生)
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