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4〜6月決算は減益となる企業さんが少なくないようだ。米中貿易摩擦や「合意レス」ブレグジット、さらにはこれから米欧の再金融緩和で円高のおそれもある。
単に「今期は不調でした」と決算発表するのもなんなので、いっそこの機に構造改革をIRしよう!と決意する経営者さんもおられるかもしれない。
草龍の私見だが、この下期は日本企業の構造改革宣言ラッシュになるんじゃなかろうか。「今期にまとめて、損を出しちゃいます!」的な決意の表明が、11月まで続くような気がする。
いまの日本企業が構造改革に踏み込むといえば、それは『正社員』を削減するということである。
昨今、中高年の「転職」が増えてきたと思いきや、これからは中高年の「フリーランサー」が激増するかもしれない。先日の日本経済新聞さんでもそのように報じられていた(7月25日『フリーランス300万人』)。
みなさんの経理の現場ではいかがだろうか?繁忙期にだけフリーランスの方に来ていただいて、例えば「子会社との厄介な取引の連結処理だけにフォーカスしてみてもらう」なんてことも現実化しているんじゃないだろうか。
構造改革だけでない。定年をむかえた先輩のなかにも、フリーランス契約を結んでおきたい方がおられることだろう。体力も意欲も衰えておらず、しかも、年齢がはるかに下のチームにあって横柄でも卑屈でもなく、積極的に経験を活かしてくださる。CFOやCEOが何を欲しがっておるのか、痒い所に手が届く。そんな方ならいつまでも元気に手伝ってほしい。
子育てや介護などを抱える方もおられる。いろんな経緯でフリーランサーになる人が増えると思う。
タレント事務所問題が話題になったが、これから「ホワイトカラータレント」の所属事務所が、世の中的に、とっても重要になるだろう。
もちろんいまどき、ピンハネするための事務所なんかありえない。今までの「常識」だったら、大企業に所属していたほうが無難です、っていう方々のための「拠り所」、これがたくさん必要になるのだ。
例えばこんな方々のためだ;
■スケジュール管理がどうしても苦手
■書類の整理がからっきしダメ
(ご存知ないかもしれないが、日本で「会社から独立する」とは、書類とハンコと郵便に埋もれるということなのだ)
■1on1の交渉に弱すぎて、ついつい丸め込まれてしまう
大企業従業員さんあるあるでしょ?ということは、これらの不安を解消できる「拠り所」があれば、ご自身のコアコンピタンス発揮に集中できる方も少なくないはずなのだ。
そもそも日本の教育&しつけは「欠点を矯正して、せめて平均値にする」がメインだ。人も企業も国も「得意を伸ばす」ほうがローコスト・ハイリターンなのだが、このムラでは「ひとに迷惑をかけない」ことが最優先だからね。
その「欠点矯正主義」の結果が、現在の国まるごとの没落だ。「苦手なことを引き受けるから、得意なことに専念して」と言ってくれる新型事務所があったら、フリーランサーになっても心強いのではないかな。
大企業さんにも、そういう新型事務所を支援する「大義」がある。というか、支援すべき「社会的責任」があるはずだ。
というわけで、これから、経理&税務プロフェッショナルフリーランサーの「居場所」つまり所属事務所が、大企業の支援のもとで続々とできてくる。
草龍個人としてもその流れに大いに賛成だし、次世代の皆さんに貢献するためにも、その「居場所」つくりに汗をかくつもりだ。
(USCPA講座 草野龍太郎先生)