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2019/05/22
成功し続ける方法/346回 <「傲慢だと貧する」時代>
「無知の知」続き。

勉強して知識が増えれば増えるほど、自分の無知さがわかる。

自分の無知さがわかればわかるほど

他人の考えが自分のと異なっているという当たり前のことに対して、当たり前に寛容になることができる。

例えば、、、「利益剰余金」とか「内部留保」と聞くと、「会社の金庫に秘蔵されているキャッシュや金塊だ」と誤解している方は、会社経営層含めて未だかなり多い。

それ以前に、世の中の大半の方が、そもそも「利益剰余金」という言葉をご存じない。

そのような方々を、「無知だ」と思えるとしたら、それはみなさんが「たまたま」、利益剰余金の何たるかを学ぶ幸運に恵まれたからである。

その幸運を忘れてしまうと、人は傲慢になる。「これだから、無知で不勉強な奴らは困るぜ」みたいにね。これは良くない。

「自分は、たまたまこの件に関してはツイていた。多くの方が知らないことを、自分は学ぶ機会があった」と思えれば、謙虚をキープできる。

そう、「無知の知」とは、「自分が『知っている』ということについて謙虚であること」と言い換えることもできるね。

これは道徳の説教ではない。いつも謙虚であれ、感謝しろ、お前は生かされているんだ、、、などと真上から言い下す気もない。

みなさんにアドバイスしたいことはひとつだけ。

「これからの時代、仕事をいただいて生きていくためには、自分の既存の(限られた)知識について謙虚であったほうがいい。

今までと同じように、自分の限られた知識について傲慢なままだと、とても苦労しますよ」

ということ。

なにせ世の中、サバイバルするのが本当にキツくなってきた。このコラムの連載を始めた7年くらい前と比べても、格段にキツくなっている。

もちろん、ここ数十年の年功序列や終身雇用、すなわち「所属する組織に関するプロ」を目指す道も、決してラクなことばかりだった訳ではない。深夜や休日もふくめてひたすら時間を費やして会社の人と物理的に一緒にいないといけないなど、それなりにコストもかかった。

そんな中で、「傲慢」であること、すなわち「自分の無知について無知」であることは、かつてはむしろ上席者としての立場を強固にする効果があった。

しかし今、そんな先輩方の真似をウッカリしようものなら、とても大きな損失を招くことになる。

どうだろう、見渡してみれば、この変化に気づかずに先輩をコピペすることで、「驕り」「傲慢」を糾弾されて転落していく方々が、ものすごく増えていないだろうか?

「驕(おご)れば貧する」時代なのである。

もちろん「謙虚」だけでこれからを生き抜く十分条件になるわけではない。しかし、必要条件となったことは間違いない。

世の中一般に通じるプロフェッショナル、それもわりと際立ったプロになるための、最低限の第一歩。それが「謙虚」であること、すなわち「自分の無知を知っている」ということです。


(USCPA講座 草野龍太郎先生)
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