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2019/03/11
成功し続ける方法/338回 <「衛生観念」が合わないチームは、長続きしない>
確定申告の時期だ。ご家族の申告作業を手伝う読者も多いと思う。あくまで、無償での個人的お手伝いとしての話だ。

ご家族が(みなさんと違って)経理業務がとても苦手な方であったら、なおさらやってあげないといけない。世の中には、帳簿なんかとてもつけられないし領収書すら整頓できない方とか、仕事はすごくできるんだが請求作業が遅れがちで、しょっちゅうクライアントから催促される、なんて方がたくさんおられる。ご家族がそういう方である場合には、(経理業務の才能に恵まれた)みなさんは積極的に手伝うべきだろう。

その際に忘れてはならないのは、「感謝をもとめない」こと。

下手なことを言うと、感謝どころか、叱られます。

「... そもそも、こちらは365日家事を超たくさんやってるのに、そちらは分担していない。一方で、こちらの仕事量は、そちらに勝るとも劣らない。だというのに、年に一回この時期にちょっとデスクワークしたくらいで偉そうに...」

... ヒトと一緒に暮らすというのは、「GIVEとTAKEの認識が日々ズレていく」ということである。

職場で、チームやペアとして同じヒトと一緒に働き続けるときも、まったく同じだ。

だからこそ、家族やチームがなるべく不満なくサステイナブル(長続きすること)であるためには、おたがいに「これはガマンできない」と感じることのレベルが近しいことが大切だ。これが合わないのに緊密になってしまうと、人間関係は長続きしない。なんなら「出会わなければよかった」という最悪の事態になる。

たとえば、他人と同棲を始める前には、まずは相手と「水回りのキレイさ(というかキタナさ)」が合うかを確認するとよい。掃除の手を同程度に抜くヒトとの生活なら、そのことで相手や自分を責めずに済む。「衛生観念がだいたい一緒」というのは、緊密な人間関係には絶必の要素だ。

仕事でもそう。「これこれだけは絶対に手を抜かないようにしよう」とチームで決めるとよい。「これをやろう!」と「やること」を示して熱意をあおるリーダーは多いが、熱意ではチームをサステイナブルに伸ばすことはできない。必要なのは仕組みであり、仕組みとは要するに「決して選択しない行動」が徹底されているということである。

経理など管理部門が現場レベルでがんばって、事業現場に「イツイツまでにコレコレをキッチリそろえて提出してください」と依頼しても、なかなか動いてもらえない。どころか事業現場から反撃される。「あなたたちは定型業務だけだから『提出してください』って言ってりゃ済むんでしょうが、われわれはワガママな客と向き合ってるんだから...」

衛生観念が合わないと、他人同士は、熱意どころか、同じ方向を向くことすら難しくなるのだ。

会社について言えば、(フィジカルに汚いのは論外として、)計画管理から制度会計や税務までがゴミ屋敷状態になっていても平気なヒトたちは多い。終身雇用・年功序列の制度のもとでは、組織がヒトに合わせざるを得ないから、組織のマジョリティが「こんな感じで別に汚くないんじゃないの」という衛生観念を持っているなら、いくら経営トップが「これじゃダメだ、これからはもっとキレイにしないと!掃除だ!」と焦ってもムダだ。高価なシステムを導入したところで、いまより可視化や共有化が進むことはない。

家が汚くても平気な人は、同居パートナーに掃除してもらっても
「わお、TAKEさせてもらった〜」
「いつも、GIVEをありがとう!」
と考えたりはしない。なんなら「あなたホントに神経質なんだね〜」などと口にして地雷を踏んだりする。

家族の確定申告も同じだ。あなたには、あなたの天賦の才を、無償で愛する家族に奉仕する義務がある。税理士じやないからフィーを取れないとかいう話ではない、「感謝」をもとめてはいけませんよということ。

あ、もう一つ。「いや〜ようやくe-Tax送信終わったわ!あのさあ、今年分については、いま(2月)からちゃんとやらない?」などというたいへん建設的な発言も、地雷を踏むことになりかねないから、よく考えてからおっしゃってくださいね。


(USCPA講座 草野 龍太郎 先生)
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