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2018/11/28
成功し続ける方法(第326回)USCPA講座 草野龍太郎先生 連載コラム
会計分野に限らず、組織のマネジメントに携わっている読者、もしくは、組織マネジメントを志す読者は少なくないと思う。
そんなみなさん全てに大きく影響してくるのが、労働関係法規の改正である。

先の国会で、いわゆる「働き方改革法案」が成立した。
これによって法定労働時間(週40時間、一日8時間)を超える「時間外労働」の上限が規制されることになった。
来年4月以降、「時間外勤務」は原則として月間45時間まで、年間では360時間までと制限される。
かりに労使間で合意してもこれを超えるのは無効である。
ただし上記には法定休日(多くの会社では日曜日)の労働は含まれないし、「特別条項」や「適用除外業種」などの別段の定めはある。
また中小規模の会社には適用されない規程も多い。

さらに今回新しいのは、時間外勤務を含む「月間総労働時間」の上限が規制された点である。
こちらは法定休日の勤務を含む話で、1か月100時間以上労働することができず、さらに複数月の平均で平均80時間を超えて働くことができない。
この「複数月」とは2か月、3か月、4か月、5か月そして6か月の平均を指す。

例えば1月に95時間働いた方は、2月は65時間以上働いてはならない。
「特別条項」があっても働いてはならない。また、1月に95時間、2月に65時間働いた方は、3月には80時間までしか働けない。
経理パーソンは決算や予算策定などで四半期ごとにピーク月が来たりするが、年度決算日のあと株主総会・申告書提出までの3か月は、かなり厳しいタイムマネジメントが求められることになる。
また、税務調査が入ったときなども要注意だ。

新法では、有給休暇の5日取得も義務化される。
労働者が取得することが義務化されるのではない。
使用者が労働者に取得させる義務があるのだ。
未取得が著しい場合、罰せられるのは労働者ではなく使用者である(労働関係法規は強行法規で刑事罰を伴う)。

しかもほとんどの労働者について、使用者側には有給休暇の「時季指定義務」も生じる。
もちろん使用者が一方的に時季指定してよいはずがなく、年休権を有する労働者から意見(いつ休みたいのかの希望)を聞き、その意思を尊重する義務がある。
なお使用者には「年次有給休暇管理簿」を作成する義務もできた。この帳簿は3年間保存しなければならない。

この他にも「勤務間インターバル制度」が努力義務化され、使用者の労働時間把握義務は強化された。
有名な「高度プロフェッショナル制度」が創設されるなど他の改正もあるが、上記さまざまな法改正で誰もが思うことは、

「これらの新制度を運用する人事システムの機能変更・追加開発は、来年4月までに間に合うのか!?」
ということだろう。
複数月平均労働時間を計算してアラートを鳴らしてくれる仕組みとか、カンタンにできるんだろうか?

とにもかくにも「働き方改革」は強烈に推進されている。
上記施策で明らかなとおり、政府のコンセプトは要するに「ワークシェアリング」である。
少数の方による仕事の「寡占」を許さず、なるべく多くの方で分担するようにしなさい。
性別や年齢(とくに高齢者)を問うことなく、仕事を分け合いなさい。
仕事が減る人は、空いた時間で健康を増進し、さらに高付加価値な仕事に向かう英気を養いましょう。
ということだ。

これからこの国でマネジメントを志すみなさんは、そんなわけなので「仕事を独り占めしている」と非難されるような働き方をしてはいけない。
また、部下となる方々の間で、仕事の平準化を進めなければならない。
そのために「デキる」ハイパフォーマーから仕事を取り上げ、「デキない」「学ばない」「すぐ逃げる」ようなローパフォーマーにその仕事を差し上げなければならない。
今みなさんがおられる職場を思い浮かべても、かなり難しい課題であろう。

各社の中でもマネジメント層が知恵を絞らなければならないが、これからは会社を超えて同じジャンルのプロフェッショナルが、課題解決のナレッジをシェアしあう時代になったとますます強く感じる。
資格試験の勉強を通じて知り合った同志の縁は、ほんとうに大事にしていきたいですね。。。
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